Intrapreneur Marketing Note

オンラインマーケの手法、新規事業の開発、グローバル化などを体験に基づいて記録

逆算的なキャリアアップの勧め

新卒スタッフが入社してくるシーズンとなり、入社したばかりの若手から「どうやってキャリアを積んでいくべきか」と相談を受けることが多いので、私が考えていることを書いてみた。

がむしゃらに仕事に没頭すれば、自分で満足できるキャリアを得られるわけではないと私は考えている。人生にはある程度の計算が必要だが、逆算的に歩むためには、どうしたらいいかの参考になれば幸いだ。

キャリアは、自分が歩んできた過去の積み上げである

スガシカオのProgressという名曲の中に、こんな一節がある。

ずっと探していた理想の自分ってもうちょっと格好良かったけれど、ぼくが歩いてきた日々と道のりをほんとは”ジブン”って言うらしい

キャリアとはまさにこれだ。その人の「今」は断片的であり、これまでに何をやってきたかが最も重要である。

西海岸のベンチャー起業家や周囲で活躍している先輩はかっこいい。けれども、大概、成功している人というのは、関係が浅い第三者に対して、地味な業務の積み重ねや、思い出すのも嫌な失敗や、情けなかった経験をつまびらかにはしないものだ(メンツの問題もあるが、失敗こそが重要な資産であることを一番理解しているからでもある)。

だからこそ、大切なのは、多かれ少なかれ成功者であっても、ずっと日の当たる道を歩いてきたわけではなくて、成功している「今」と比べれば、圧倒的に不遇な時間を過ごしていた時もあるということを理解することである。思ったような仕事を任されない時期もあるかもしれないが、一定の期間はそれを受け入れるのも肝要である。間違いなく様々な気づきがある。

正しいフォロワーシップを発揮できる人材になること

個人の能力を高めていくためには、仕事を通じて経験を積み上げる必要がある。ただし、そのためには、配属された組織の中で孤立せずにチームに貢献していくのは大変重要なテーマである。1メンバーとして目指すべき姿としては、リーダーにとっての「パートナー」となることである。

下記は、アイラ・チャレフ著『ザ・フォロワーシップ』に書かれている内容であるが、1メンバー(フォロワー)であっても、そのスタンスによって分類できる。 

ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

 

 

テンプスタッフ社ホームページより引用

ついつい成果を出すことに夢中になりすぎたり、他の人からの見え方を気にして恰好つけようとして独りよがりな提案をしていたりしないだろうか?逆に、言われたことしかやらない状態に留まっていないだろうか?

大切なのは、配属された組織のリーダーから、まずは信頼を勝ち取り、任される職責範囲を広げていくことだ。この広がりが無ければ、社内ですらキャリアアップしていくことは困難になる。

president.jp

知ってる・できる・続けている・稼げる

ある分野においてプロフェッショナルを目指す上では、自分が何かについて「知ってる・できる・続けている・稼げる」のどの状態にあるのか、客観的に把握しておかなければならない。

プロというのは、「稼げる」状態であるべきだし、常にその状態を目指すべきだと思う。「知ってる」だけの薄っぺらい人材は、Google検索やらAIに代替されてしまう。「できる」人材は、単に「やったことがある」だけではないのか考えなければならない。

私はネットサービスに長く関わっているので、新卒スタッフや中途のスタッフでも、事業部にアサインされたのに、「個人でアフィリサイトを立ち上げて一円も稼いだことのない人材」を結構見てきた。

野球選手になったのに、草野球すらしたことが無い状態であることを理解していなし。悲しいし、せっかくの機会なのにもったいない。

前述のフォロワーシップにも関係するが、誰かから与えられなければ何もできない状態ではこの先戦えない。この手のスタッフは、草野球(個人アフィリ)ですら、厳しいヒエラルヒーが成立していることを理解していない。

下記のアフィリエイトに関する統計データは10年くらい取られているけど、ほとんど変わってなかったと記憶している。要するに、仮に始められても、続けられるかどうかは全く別の問題なのだ。

アフィリエイトでの1ヶ月の収入は、全回答者 2,394 名のうち「収入なし」が 23.6%と突出し、「1000 円未満」が 17.4%であった。「収入なし」「1000 円未満」の 2 回答で約 40%を占めた。一方で月 100 万円を超える割合が、全回答者の 10%超存在し、昨年度の約 2 倍の比率となった。
日本アフィリエイトマーケティング協会

アフィリエイトという仕組みを「知っている」、そして実際にサイトを運営「できた」、そして「続けている」に深く関わるのが、「稼げている」かどうかであろう。結局、稼ぎ出せなければ、本人のモチベーションも続かないし、周囲の期待もあがらない。

情報の一次ソースになる

「人でも物事でも、よく知る努力をしない限り、何も知ることはできない。知ることに近道はない。特に個人的な経験によって得られる知識に近道はない。努力なしの近道や手垢のついた常識に頼るくらいなら、何も知らないほうがよほどましだ。」ベン・ホロウィッツ「Hard Things」 

HARD THINGS

HARD THINGS

 

ビジネスにおいて、周囲からの信頼を勝ち取るには、自分が任された領域が抱える課題について、誰よりも丁寧で、そして深い知見が必要になる。これはインターネットで時間をかけてググって済ませられるものではなくて、実際に現場に配属されて体感した経験が重要であり、特に、顧客と向き合いクレーム(たまには感謝)を直接面と向かって言われたような「生々しい」経験ほど資産となりやすい。

少なくとも、新人で配属された時点では、会社の先輩や経営陣と比べて実績はないので会議などでの発言力や影響力は持ちにくい。だが、先輩たちは、年次があがるにつれて、この「生々しい」経験をすることが少なくなるものだ。これこそが、「足で稼げる」情報であり、知識や経験が豊富な諸先輩と互角に打ち合うための材料になりうる。

この情報をたくさん持っている新人スタッフほど、上長から重宝されやすくなり、必然的に新しい仕事を割り振ってもらえる確率が上がる。つまり、自分が情報の一次ソースになることで、上長がググるよりも適切な情報を提供できる立場になればいいのだ。これは、上述のフォロワーシップにある「パートナー」的な役回りともいえる。

20代で1/100。30代で1/10000の人材になる

単純な話、給与(稼ぎ)を増やしたいのであれば、世の中的に貴重な人材になればよいのだ。プロ野球選手、外科医、パイロット、プロ経営者(MBA)など世の中で高給取りな仕事をしている人たちは、突き詰めて考えれば、その仕事を得るためには高い制約条件がある職種にいるわけだ。結果として、任せられる担い手が少ないために希少性が高くなり、稼ぎは大きくなるという構造にある。

このことはどのレイヤーの仕事においても同じことが言える。とにかく、マーケットが必要とする稀有な存在になる努力が必要だ。決して、今、在籍する会社の歯車として求められるだけの人材では駄目だ。

レアな人材になって付加価値を高めるには、まずいまの仕事で100分の1の人材にならなくてはいけない。100分の1と聞いて腰が引けるかもしれないが、実はそれほど難しくない。マルコム・グラッドウェルは『天才!成功する人々の法則』で、さまざま実例をあげながら、どんな人もある分野について1万時間練習すれば、その道のマスターになれることを示した。1万時間は、1日8時間、年間200日働いたとして約6年。営業でも、経理でもいい。多少の個人差があるかもしれないが、その仕事を少なくても10年真面目にやれば、誰でも自ずと100人に1人のレベルに達するのである。

logmi.jp

藤原さんの話の中にもあるが、1分野で1/1,000,000の人材になるのは相当に難易度が高いことではあるが、3つの分野で1/100を目指すのは、無理がなくて現実的な目標にしやすいと思う。

特に、「1万時間を費やせば、ひとつの分野で1/100の人材になれる」という指針は、腹落ちした。1日8時間×365日×3年≒10,000時間なのだ。

私はエンジニアとしては1/100になれなかった。費やした時間が明らかに足りなかった。1年で諦めてしまったからというのが根本的な原因だったのだろう。しかし、その後転職して、「ネットサービスのプロデューサー(7年)」→「海外でアプリマーケのスペシャリスト(2年)」→「新規事業開発のスペシャリスト(3年)」という経歴を辿ったが、それぞれにおいては1/100になれたのかもしれない。二つ目の海外の仕事は激務で、1日8時間どころではなかったから2年で10,000時間を超えたと思う。

結果として、ある程度のユニークな人材に30代中盤までに変化できているのはラッキーだった。

自己評価・社内評価・社外評価

20代の頃に尊敬している先輩から教わったことの一つに、「毎年、職務経歴書を書き直し、ヘッドハンターに開示しておく」ことがある。これによって、自己認識を正すと同時に、在籍している会社における自分の評価がマーケットの視点で見た場合にどうなのかを確認している。

最近では、国内ならビズリーチ、海外ならLinkedinを使えば、ヘッドハンターとの接触は容易になってきているので、試してみるとよい。

例えば、一年間自分なりに頑張ったとしても給与や処遇が上がらないことは多々ある。そんな時に、つい会社や上長など環境に責任があると思いたくなるが、本当にそうなのかを見極めることは、キャリアアップの重要な視点であるのだ。かっとなり、感情に任せて転職しても上手くいかない。

もしも、「社内評価<社外評価」であれば、自分の思い込みは正しいのだ。職場を変えたりして環境を見直すことはありだと思う。おそらく転職によって、新しいポジションを確保できたり、給与などの処遇も改善できる可能性は高い。何よりも気持ち良く働ける状態にあることは、大事だからだ。

しかしながら、「社内評価>社外評価」の状況にあることを、突きつけられた場合、環境を恨みたくなる気持ちはグッと堪え、また1年間、在籍先で活躍することを誓った方がいいだろう。このケースでは、転職しても満足行く結果にはなりにくいからだ。

むしろ、マーケット評価よりも高い給与や処遇を与えてくれている環境にいることに感謝し(感謝したくない気持ちもあるだろうが)、まずは社内と社外の評価をイーブンにもっていけるように努めることをお勧めしたい。