Intrapreneur Marketing Note

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超ドメドメの日本人両親が、最小出費で子供をバイリンガルにする方法(前編)

バイリンガルに育てる決定打は、インターと留学しかないのか?

20-30年先を見据えたときに、日本国内でしか活躍できない人材に子供たちをするのか、海外であってもどこでも生き抜いていく力を身につけさせるべきか、答えは簡単に出せる。けれども、肝心な実現手段は、インターナショナルスクールの通学(もしくは海外大学への留学)以外に思いつかない親たちが多いと思う。そこで、自分の子供をどのようにバイリンガルに育てているかを書いてみたので、参考になれば幸いだ。

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英語習得の鍵は、使うことの必然性と習慣化にある

私は、英語が全く使いこなせない純ドメスティックなステレオタイプな日本人だ。妻も私よりは英語が得意だけど、大学卒業以来使う機会も無く過ごしてきた。転機は30才を過ぎてからの海外勤務で、はじめて自分の語学力の無さに落胆し、そこから習得を始めた。 

そのため、自分の子供たちには、将来の無用な苦労とチャンスロスをさせたくなかったので、英語習得については積極的に投資することを決めていた。

私は、自分の経験も踏まえ、24時間のうち1分でも多くインタラクティブに英語コミュニケーションが自然に発生する環境を整えることが言語習得のカギを握ると考えるようになった。とにかく、使い続ける頻度によって、習得度合いには差が出ると思う。大学卒業までダラダラと学んだ英語が全く力にならなかったのに、嫌でも英語に向き合わされた2年間の海外勤務によって一気にレベルが上がったことが、その支えになっている。

英語の利用頻度=家庭内+家庭外

いきなり利用頻度を上げようとすると、何から手を付けたらいいか分からなくなるので、まずは、積み上げ式で考えてみるのがよいだろう。英語を習得する機会を分解すると、下記のように整理できる。

 利用頻度=家庭内+家庭外
    家庭内=起床~登校まで+下校~就寝まで
    家庭外=学校+放課後+休日

家庭内外でそれぞれの利用頻度を高める方法を見つけ出すトライが始まった。

素人が思いつくものは片っ端から試してみた

いざ、身近でできることからスタートしようとしたが、社会人になってからの英語学習とは異なり、幼児向けに作られた体系化された英語指南書は無かった。そこで、子供が2才を過ぎた頃から、割と手当たり次第、目に付くものを試してみた。

英語によるリトミック教室

地元の文化センターなどで開催されるサークル活動に参加してみたが、先生が「ド・日本人」で、発音が全くネイティブではなかった。そのため、肝心の英語音の音聞かせ自体が機能しないため言語習得の観点では意味が無かった。参加するなら、ネイティブの先生が開催する会を選んだほうが良いし、英語を目的にこうしたリトミックに参加するのは効率悪いと思える。

地元密着型の小規模「インターナショナルプリスクール」

自分達でできることが早々に思いつかなくなったので、英語に接触する環境を早速用意することにした。ECCなどの大手英会話教室が提供する幼児向けのプログラムもあるのだけど、コマで契約する必要もあり1回40分では浸透度合いが少し足りないなと考え、週2日程度半日預かってくれるプリスクール型を選ぶことにした。当時、2歳半の息子は、地元の預かり保育を使うことがあったのだが、その枠をいくつか「インターナショナルプリスクール」に充てる考え方だった。

幸い、自宅から歩いて15分くらいの距離にプリスクールがあった。朝晩の送迎もやってくれるし、先生はネイティブで、授業のプログラムにもリトミックフォニックスなども取り入れており、芋堀りとかの季節イベントもやっていた。「今どきっぽい」運営形態で、期待値は高かった。

ただ、クラスメートがほぼ全員日本人の子供たちで構成されていたので、授業中は先生と子供たちの間は英語によるやり取り(といっても一方通行になりがち)なのだけど、子供たち同士のやり取りになると途端に慣れている日本語になってしまうのだった。

海外勤務でも、現地法人で日本人同士で仕事をし続けると英語が全然上達しないのと似ていたので、何かしらの手入れが必要になった。通えど通えど、自分から英語を口にすることは無いので、親としては残念な気持ちになった。

ディスニー英語教材/DWE(Disney's World of English)

プリスクールでの利用頻度では足りないと判断し、自宅でも英語と積極的に触れ合う時間を作ろうと考えた。自分で英語の発音を教えることが出来るわけではないので、DVDなどに教材が詰め込まれているものがよいなあと考えた。また、DVDを流している間、子供たちがそれに集中してくれると家事も出来るんじゃないかという期待もしていた。

そんな中、ネットでもよく広告を見かけるし、週末にららぽーとへ出かけるとよくブースを出店しているのを見かける幼児英語教材システム「DWE」が気になってきた。「体系だった」パッケージ型の幼児教材は無いのかと探していた我が家にとっては、ぴったりな教材だと思い、地元の営業担当に連絡し、自宅で実際にデモをしてもらった。そして、あれよあれよと気が付けば契約していた。確か、「ミッキーパッケージ+G」だと思う。

記憶が曖昧だが、初回契約時しか申し込みが出来ないプランがあった。「ミッキーマジックペン」はそれだったはずだ。「本をなぞると音が出る」というギミックは、3歳の息子にとってはたまらなく魅力的に映るので、結局契約してしまった。

注目すべきは、とにかく料金だ。

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高い。今となって見ても、高いと思う。
いまだに我が家には7割以上の教材が新品のまま使われずにおいてあるのだけど、
もったいないことをしたなあと反省している。後述するが、DWEに支払った70万近い出費があれば、安価なインターナショナルスクールの1年分の学費に充当できる。その方が英語習得は早いし、効果的に費用回収できる。

次に、価格以外の面での評価としては、「40年前であれば優秀」という感じだ。
(※2017年に購入しているので最新版がどうなったかについては分からない。)

下記は、自分が子供達に使ってみての感想だ。正直使いこなせているのか分からない。

  • フォニックスの言語習得プログラムは、構成や展開などのプログラムに最も重要な、「子供を惹きつける」力に不足を感じる。そのため、子供たちは飽き易かった。Youtube上にある「無料」コンテンツの方がむしろ力強いものが多い。
  • コンテンツのビジュアル的な古臭さが気になる。登場する親子のファッションも昭和感が満載。演出も昭和感が強い。
  • 売りであるディズニーのキャラクター達も、実は全ての教材に登場するわけではない。オリジナルのキャラクターや、子役たちが登場する場面の方が多い。
  • 各地で開催されるリアルなイベントは、「おかあさんといっしょ」型の劇場方式になっており、インタラクティブ性は薄い。加えて、会費を払ってるのに、イベント参加するには更に追加で参加料を払わないといけない。英語をアウトプットする場としては不十分に感じた。
  • 最も手薄なのは、インターネット対応の部分。教材がDVDで支給されるため、ネット経由でのコンテンツ更新がない。つまり、購入後に流行した「アナ雪」とかのキャラクターはいつまで経っても登場しない。新しい言語習得メソッドが出回っても取り込まれることは無く、次のDVDが出回るまで待つ必要がある。

もしも試してみたい方がいれば、ブックオフやメルカリをチェックしてみるといいかもしれない。ほとんど新品の状態の商品が多く出品されており、定価よりは安く調達できるので、それで自分の子供に合っていれば新品を購入するのが良さそうに思った。

1年ほど粘ったが、ほとんど話せるようにはならなかった

色々自分達でできることにチャレンジしてみたものの、納得いく成果が得られた気がせずに1年が経過した。振り返ってみると、家庭内・家庭外での利用頻度がやはり中途半端であった。

 利用頻度=家庭内+家庭外

家庭内については、DWEを契約したものの、根本的に、息子達はディスニーのキャラクターが特段好きでもないのでDVDを上映しても、早々に飽きてしまう。だから、見入らないので、フレーズを真似もしない。習得が進まないという流れにはまっていた。

家庭外については、プリスクールに通ったものの、通学日数が限定的なことと、教室内で子供たち同士の会話が日本語になってしまうために、期待していた「”浴びる”ように英会話に浸る」ことができなかった。 

そのうちに、翌年度の幼稚園をどうするか決めなければならない時期になった。

通い始めたインターナショナルプリスクールで、そのままキンダー(幼稚園)のグレードに進級すればいいと安易に考えていたところ、入学定員数の制限があることが発覚。週2で通っていた我が家よりも多い頻度で通学されていた家庭が多かったことから、結局、ロイヤルティの高い家庭を優先し入学者が決まり、息子は入学が出来なくなるという想定外の事態に直面した。

ここで今後の英語習得について、抜本的に取り組み方を考え直す必要性に迫られたのだが、このことが結果としてはプラスに働いた。むしろ、今となっては進級できなくてよかったと思う。

国内で最も海外に似た場所への引越しする決断

自分達なりの試行錯誤の結果、どうしても自力で言語習得の環境を整えるには力が及ばなかったり、親自身が英語を使うことからあきらめてしまうことが多かったことを反省した。そこで、自身が望む望まない関係なく、”浴びる”ように英語に触れざるを得ない海外での生活に近い環境でまた生活できないかと考えた。

要は、国内であっても、外国人居住者だらけの町で暮らせればよいという発想だ。
それなら、バリやセブに留学しなくても、カリフォルニアに引っ越さなくても大丈夫。

ご近所さんが外国人、学校の友達も外国人、お店の店員さんも外国人なら完璧だ。
問題はそんな好条件のエリアが、果たして国内にあるのかということだった。

英語が母国語の外国人の居住比率の高いエリアはどこなのか?

最初に思い浮かんだのが、港区の周辺(麻布や六本木)だった。

ただ、その次には、家賃が高くて生活が到底無理だろうし、通わせるインターナショナルスクールの学費は更に無理だろうと思った。とはいえ、自分はマーケティングの人間だ。数字的なアプローチをしてみることにして解決を目指した。

様々な人口統計データが開示されているが、東京都の市区町村別の全体人口と外国人の人口データは、区市町村、国籍・地域別外国人人口として取得できる。

区市町村、国籍・地域別外国人人口 (東京都人口統計課)

http://www.toukei.metro.tokyo.jp/gaikoku/2018/ga18010000.htm

このデータによって、東京都のどの市区町村に、どの国籍の人が多く住むか分かる。

このうち、居住する外国人のうち、英語を母国語とする可能性の高い国(米国、英国、カナダなど)の人たちの割合が多い区は、上位から「港区・渋谷区・江戸川区」であることが分かる。逆に、練馬区や杉並区は英語圏の人口比率が低いことも分かる。

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また、各区で多く居住している国籍には差があり、例えば港区だと米国人が多いし、江戸川区ならインド人、足立区はフィリピン人とそれぞれにばらつきが出ることも分かる。ここまでで、まずは「港区・渋谷区・江戸川区」が狙い目ということになってくる。

港区 = 江戸川区 の衝撃

英語圏比率が高い区は、港区が圧倒的だけれど、港区で生活をする経済的な余裕はない。そこで、町丁単位で見て比率が高いところは、港区以外にもあるはずだろうという仮説を立て、そこを探し出すことにした。マクロでダメならミクロで勝負だ。

大まかなゴールは、「港区・渋谷区・江戸川区で、一番英語圏居住者比率が高い町」を選ぶことになった。ドリルダウンして、町丁を探し当てる。

これには、総務省国勢調査が便利だ。こちらのデータでは、国籍別の外国人人口は分からないが、外国人の割合が高い、町丁が分かるので、前述のデータと組み合わせれば、おおよそのレコメンドエリアが見つけられる。

平成27年国勢調査 小地域集計 (総務省統計局)
第3表 年齢(5歳階級),男女別人口,総年齢及び平均年齢(外国人―特掲)-町丁・字等

これによって、英語を母国語とする可能性の高い国の人たちが多く住むのは、港区愛宕・赤坂・六本木・麻布といった従来から大使館や外資のオフィスが集中するエリアであることが分かる。ただ、これらの町が上位に来るのは想定内だ。経済理由で住むことは難しい。そうして、上から眺めて行くと...

なんと、江戸川区の「小松川清新町・西葛西・西小岩」が上位に食い込んでいる。
これは想定外だったけど、嬉しい結果になった。

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江戸川区に住んでいるインド人は、エンジニアやホワイトカラー 

どうやら調べてみると、2000年問題で、システムエンジニアが不足した頃に、
日本のSIerがインド人のエンジニアの確保に動いたのがキッカケのようだ。
その後、インド人の先輩が多く住む江戸川区に、後輩が追いかける形でどんどん入居が進んでいる。特に、保証人が不要ですぐに入居が出来るURの物件があるエリアは人気になっている。

最近だと、メルカリもインドからエンジニアの採用に動いていて、この流れはまだまだ続きそうである。

また、特筆すべきは、入居してくる人材は、相当なエリートであることだ。

たとえば、江戸川区においては、インド人のホワイトカラーの比率は日本人のホワイトカラーの比率よりも多いという。ここからわかるのは、かつて単純労働のために海外から訪れていた人が多かった状況は変わり、より高度で専門的な仕事をするために日本を訪れる外国人が増えているということだ。

23区内で広がる人口格差の実態…都心集中はなぜ問題なのか? | ダ・ヴィンチニュース

港区に比べて絶対的に家賃も安く生活費が抑えられ、葛西臨海公園に代表されるように緑も豊かで、東西線の混雑は問題ではあるものの都心部へのアクセスもいい江戸川区は、比較的、誰に対しても優しいインターナショナルタウンと言える。

そして我が家は、色々考えて、西葛西駅に近く生活環境も良さそうな、「清新町」を選択することにした。後編に続く。