Intrapreneur Marketing Note

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超ドメドメの日本人両親が、最小出費で子供をバイリンガルにする方法(前編)

バイリンガルに育てる決定打は、インターと留学しかないのか?

20-30年先を見据えたときに、日本国内でしか活躍できない人材に子供たちをするのか、海外であってもどこでも生き抜いていく力を身につけさせるべきか、答えは簡単に出せる。けれども、肝心な実現手段は、インターナショナルスクールの通学(もしくは海外大学への留学)以外に思いつかない親たちが多いと思う。そこで、自分の子供をどのようにバイリンガルに育てているかを書いてみたので、参考になれば幸いだ。

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英語習得の鍵は、使うことの必然性と習慣化にある

私は、英語が全く使いこなせない純ドメスティックなステレオタイプな日本人だ。妻も私よりは英語が得意だけど、大学卒業以来使う機会も無く過ごしてきた。転機は30才を過ぎてからの海外勤務で、はじめて自分の語学力の無さに落胆し、そこから習得を始めた。 

そのため、自分の子供たちには、将来の無用な苦労とチャンスロスをさせたくなかったので、英語習得については積極的に投資することを決めていた。

私は、自分の経験も踏まえ、24時間のうち1分でも多くインタラクティブに英語コミュニケーションが自然に発生する環境を整えることが言語習得のカギを握ると考えるようになった。とにかく、使い続ける頻度によって、習得度合いには差が出ると思う。大学卒業までダラダラと学んだ英語が全く力にならなかったのに、嫌でも英語に向き合わされた2年間の海外勤務によって一気にレベルが上がったことが、その支えになっている。

英語の利用頻度=家庭内+家庭外

いきなり利用頻度を上げようとすると、何から手を付けたらいいか分からなくなるので、まずは、積み上げ式で考えてみるのがよいだろう。

 利用頻度=家庭内+家庭外
    家庭内=起床~登校まで+下校~就寝まで
    家庭外=学校+放課後+休日 でとらえてみると分かりやすくなる。

まずは地元でできることの試行錯誤をスタート

いざ、身近でできることからスタートしようとしたが、社会人になってからの英語学習とは異なり、幼児向けに作られた体系化された英語指南書は無かった。そこで、子供が2才を過ぎた頃から、割と手当たり次第、目に付くものを試してみた。

英語によるリトミック教室

地元の文化センターなどで開催されるサークル活動に参加してみたが、先生が「ド・日本人」で、発音が全くネイティブではなかった。そのため、肝心の英語音の音聞かせ自体が機能しないため言語習得の観点では意味が無かった。参加するなら、ネイティブの先生が開催する会を選んだほうが良いし、英語を目的にこうしたリトミックに参加するのは効率悪いと思える。

地元密着型の小規模「インターナショナルプリスクール」

自分達でできることが早々に思いつかなくなったので、英語に接触する環境を早速用意することにした。ECCなどの大手英会話教室が提供する幼児向けのプログラムもあるのだけど、コマで契約する必要もあり1回40分では浸透度合いが少し足りないなと考え、週2日程度半日預かってくれるプリスクール型を選ぶことにした。当時、2歳半の息子は、地元の預かり保育を使うことがあったのだが、その枠をいくつか「インターナショナルプリスクール」に充てる考え方だった。

幸い、自宅から歩いて15分くらいの距離にプリスクールがあった。朝晩の送迎もやってくれるし、先生はネイティブで、授業のプログラムにもリトミックフォニックスなども取り入れており、芋堀りとかの季節イベントもやっていた。「今どきっぽい」運営形態で、期待値は高かった。

ただ、クラスメートがほぼ全員日本人の子供たちで構成されていたので、授業中は先生と子供たちの間は英語によるやり取り(といっても一方通行になりがち)なのだけど、子供たち同士のやり取りになると途端に慣れている日本語になってしまうのだった。

海外勤務でも、現地法人で日本人同士で仕事をし続けると英語が全然上達しないのと似ていたので、何かしらの手入れが必要になった。通えど通えど、自分から英語を口にすることは無いので、親としては残念な気持ちになった。

ディスニー英語教材/DWE(Disney's World of English)

プリスクールでの利用頻度では足りないと判断し、自宅でも英語と積極的に触れ合う時間を作ろうと考えた。自分で英語の発音を教えることが出来るわけではないので、DVDなどに教材が詰め込まれているものがよいなあと考えた。また、DVDを流している間、子供たちがそれに集中してくれると家事も出来るんじゃないかという期待もしていた。

そんな中、ネットでもよく広告を見かけるし、週末にららぽーとへ出かけるとよくブースを出店しているのを見かける幼児英語教材システム「DWE」が気になってきた。「体系だった」パッケージ型の幼児教材は無いのかと探していた我が家にとっては、ぴったりな教材だと思い、地元の営業担当に連絡し、自宅で実際にデモをしてもらった。そして、あれよあれよと気が付けば契約していた。確か、「ミッキーパッケージ+G」だと思う。

記憶が曖昧だが、初回契約時しか申し込みが出来ないプランがあった。「ミッキーマジックペン」はそれだったはずだ。「本をなぞると音が出る」というギミックは、3歳の息子にとってはたまらなく魅力的に映るので、結局契約してしまった。

注目すべきは、とにかく料金だ。

https://ikumen-smile.com/wp-content/uploads/2017/03/Price1.bmp

高い。今となって見ても、高いと思う。
いまだに我が家には7割以上の教材が新品のまま使われずにおいてあるのだけど、
もったいないことをしたなあと反省している。後述するが、DWEに支払った70万近い出費があれば、安価なインターナショナルスクールの1年分の学費に充当できる。その方が英語習得は早いし、効果的に費用回収できる。

次に、価格以外の面での評価としては、「40年前であれば優秀」という感じだ。
(※2017年に購入しているので最新版がどうなったかについては分からない。)

下記は、自分が子供達に使ってみての感想だ。正直使いこなせているのか分からない。

  • フォニックスの言語習得プログラムは、構成や展開などのプログラムに最も重要な、「子供を惹きつける」力に不足を感じる。そのため、子供たちは飽き易かった。Youtube上にある「無料」コンテンツの方がむしろ力強いものが多い。
  • コンテンツのビジュアル的な古臭さが気になる。登場する親子のファッションも昭和感が満載。演出も昭和感が強い。
  • 売りであるディズニーのキャラクター達も、実は全ての教材に登場するわけではない。オリジナルのキャラクターや、子役たちが登場する場面の方が多い。
  • 各地で開催されるリアルなイベントは、「おかあさんといっしょ」型の劇場方式になっており、インタラクティブ性は薄い。加えて、会費を払ってるのに、イベント参加するには更に追加で参加料を払わないといけない。英語をアウトプットする場としては不十分に感じた。
  • 最も手薄なのは、インターネット対応の部分。教材がDVDで支給されるため、ネット経由でのコンテンツ更新がない。つまり、購入後に流行した「アナ雪」とかのキャラクターはいつまで経っても登場しない。新しい言語習得メソッドが出回っても取り込まれることは無く、次のDVDが出回るまで待つ必要がある。

もしも試してみたい方がいれば、ブックオフやメルカリをチェックしてみるといいかもしれない。ほとんど新品の状態の商品が多く出品されており、定価よりは安く調達できるので、それで自分の子供に合っていれば新品を購入するのが良さそうに思った。

1年ほど粘ったが、話せるようにはならなかった

色々自分達でできることにチャレンジしてみたものの、納得いく成果が得られた気がせずに1年が経過した。振り返ってみると、家庭内・家庭外での利用頻度がやはり中途半端であった。

 利用頻度=家庭内+家庭外
    家庭内=起床~登校まで+下校~就寝まで
    家庭外=学校+放課後+休日

家庭内については、DWEを契約したものの、根本的に、息子達はディスニーのキャラクターが特段好きでもないのでDVDを上映しても、早々に飽きてしまう。だから、見入らないので、フレーズを真似もしない。習得が進まないという流れにはまっていた。

家庭外については、プリスクールに通ったものの、通学日数が限定的なことと、教室内で子供たち同士の会話が日本語になってしまうために、期待していた「”浴びる”ように英会話に浸る」ことができなかった。 

そのうちに、翌年度の幼稚園をどうするか決めなければならない時期になった。

通い始めたインターナショナルプリスクールで、そのままキンダー(幼稚園)のグレードに進級すればいいと安易に考えていたところ、入学定員数の制限があることが発覚。週2で通っていた我が家よりも多い頻度で通学されていた家庭が多かったことから、結局、入学が出来なくなるという想定外の事態に直面した。

ここで今後の英語習得について、抜本的に取り組み方を考え直す必要性に迫られたのだが、このことが結果としてはプラスに働いた。むしろ、今となっては進級できなくてよかったと思う。

国内で最も海外に似た場所への引越しする決断

自分達なりの試行錯誤の結果、どうしても自力で言語習得の環境を整えるには力が及ばなかったり、親自身が英語を使うことからあきらめてしまうことが多かったことを反省した。そこで、自身が望む望まない関係なく、”浴びる”ように英語に触れざるを得ない海外での生活に近い環境でまた生活できないかと考えた。

要は、国内であっても、外国人居住者だらけの町で暮らせればよいという発想だ。
それなら、バリやセブに留学しなくても、カリフォルニアに引っ越さなくても大丈夫。

ご近所さんが外国人、学校の友達も外国人、お店の店員さんも外国人なら完璧だ。
問題はそんな好条件のエリアが、果たして国内にあるのかということだった。

港区、渋谷区、江戸川区は、英語が母国語の外国人の居住比率が高い

最初に思い浮かんだのが、港区の周辺(麻布や六本木)だった。

ただ、その次には、家賃が高くて生活が到底無理だろうし、通わせるインターナショナルスクールの学費は更に無理だろうと思った。とはいえ、自分はマーケティングの人間だ。数字的なアプローチをしてみることにした。

様々な人口統計データが開示されているが、東京都の市区町村別の全体人口と外国人の人口データは、区市町村、国籍・地域別外国人人口として取得できる。

区市町村、国籍・地域別外国人人口 (東京都人口統計課)

http://www.toukei.metro.tokyo.jp/gaikoku/2018/ga18010000.htm

このデータによって、東京都のどの市区町村に、どの国籍の人が多く住むか分かる。

このうち、居住する外国人のうち、英語を母国語とする可能性の高い国(米国、英国、カナダなど)の人たちの割合が多い区は、上位から「港区・渋谷区・江戸川区」であることが分かる。逆に、練馬区や杉並区は低いことも分かる。

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また、各区で多く居住している国籍には差があり、例えば港区だと米国人が多いし、江戸川区ならインド人、足立区はフィリピン人とそれぞれにばらつきが出ることも分かる。ここまでで、まずは「港区・渋谷区・江戸川区」が狙い目ということになってくる。

港区愛宕・赤坂・六本木 = 江戸川区小松川清新町・西葛西

大まかなエリアが決まったので、次は、更にドリルダウンして、町丁を探し当てる。
総務省国勢調査が便利だ。こちらのデータでは、国籍別の外国人人口は分からないが、外国人の割合が高い、町丁が分かるので、前述のデータと組み合わせれば、おおよそのレコメンドエリアが見つけられる。

平成27年国勢調査 小地域集計 (総務省統計局)
第3表 年齢(5歳階級),男女別人口,総年齢及び平均年齢(外国人―特掲)-町丁・字等

これによって、英語を母国語とする可能性の高い国の人たちが多く住むのは、港区愛宕・赤坂・六本木・麻布といった従来から大使館や外資のオフィスが集中するエリアであることが分かる。

とはいえ、それ以外に特徴的な町がいくつかある。それが、江戸川区だ。
江戸川区の「小松川清新町・西葛西・西小岩」は、全くの想定外だった。

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江戸川区に住んでいるインド人は、エンジニアやホワイトカラー 

どうやら調べてみると、2000年問題で、システムエンジニアが不足した頃に、
日本のSIerがインド人のエンジニアの確保に動いたのがキッカケのようだ。
その後、インド人の先輩が多く住む江戸川区に、後輩が追いかける形でどんどん入居が進んでいる。特に、保証人が不要ですぐに入居が出来るURの物件があるエリアは人気になっている。

最近だと、メルカリもインドからエンジニアの採用に動いていて、この流れはまだまだ続きそうである。

また、特筆すべきは、入居してくる人材は、相当なエリートであることだ。

たとえば、江戸川区においては、インド人のホワイトカラーの比率は日本人のホワイトカラーの比率よりも多いという。ここからわかるのは、かつて単純労働のために海外から訪れていた人が多かった状況は変わり、より高度で専門的な仕事をするために日本を訪れる外国人が増えているということだ。

23区内で広がる人口格差の実態…都心集中はなぜ問題なのか? | ダ・ヴィンチニュース

港区に比べて絶対的に家賃も安く生活費が抑えられ、葛西臨海公園に代表されるように緑も豊かで、東西線の混雑は問題ではあるものの都心部へのアクセスもいい江戸川区は、比較的、誰に対しても優しいインターナショナルタウンと言える。

そして我が家は、色々考えて、駅前で生活環境も良さそうな、「清新町」を選択することにした。後編に続く。

前向きに考え続けるように自分自身(OS)をアップデートしておくこと

30代になる前に、本気で内面のアップデートを済ませるべき

30代が近づき、自分が担当する業務や役割が大きくなると、協働をお願いする相手も増える。今までだったら、協働相手は同僚だけだったり、上司が他部署の調整に回ってくれていたかもしれない。

けれども、立場が上がれば、話す相手は、年上だったり年下だったり、自分より上の役職者だったり、チームスタッフだったりと様々になっていく。そんなとき、一番大事なのは、ポジティブなメッセージを発する人でい続けることだと思う。少なくとも、ネガティブな発言ばかりの人とは一緒に働く人が減って行く。

ところが、日常的に、できないことが多く発生すると、人の気持ちはどんどん後ろ向きで保守的になって行きがちだ。人は、元来、環境に影響されやすい生き物なのだ。

常にモノゴトを前向きに捉えることの重要性

ポジティブな人のところには、常に前向きなパワーやアイデア(提案)が集まる。それは、その人にパワーやアイデアを持ち寄ることで、実現される可能性が高いと周囲の目に映っているからだと思う。だから、小さな力も大きな力になりやすい。

その渦の中心に自分がいるためには、ポジティブな人になりきるしかないのだ。

一つ目は、「思考」。
過去ではなく未来を見据えておく必要がある。
例えば、物事の捉え方は、言い方を変えれば全然景色も雰囲気も変わる。 

 【分かりやすい思考ロジックの違い】

  • シェアは30%しかないと捉えるか、すでに30%を保持できたと考えるか
  • 計画通りに営業が進んでいない可能性があると捉えるか、一部エリアでは営業が既に立ち上がりつつあると考えるか
  • あなた(you)のやり方には問題があると指摘するか、われわれ(we)のやり方には改善余地がまだまだあると考えるか
  • 過去の失敗原因の追求に時間を掛けすぎるのか、失敗の結果を元にした解決案のトライアルに時間を掛けるのか などである。

意外と、プレイヤーとして成功してきた人ほど、この思考に切り替えできないケースは多いものだ。

完璧主義による自滅を防ぐ方法 | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

逆に、Alibabaの創業者、ジャック・マーのVideoを見ると、前向きに捉え動き続けることの重要さが良く分かる気がする。彼は、とにかく自分の周りからネガティブなオーラーを発する人々との接触を避けるようにしているようだ。ネガティブなものをポジティブに変わるようにモチベートするよりも、ポジティブなものに働きかける方がよっぽど精神衛生上も良いことを彼は知っているのだ。

 

二つ目は、言動。

自分自身に毎日言い聞かせ、暗示に掛けるくらいの勢いで物事をポジティブに捉え発言する癖をつけないといけない。これは口頭でもメールやチャットなどの文面でも同じだ。本当に些細な表現の仕方によって、自分自身も伝えられた周囲のスタッフも影響を受けるので、とにかく言動には気を遣ったほうが良い。

人間関係でしくじる人に共通していた「残念な言葉の選び方」 | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン

 TOHOシネマズの前身を創業された、山本マーク氏の著書(ポップコーンはいかがですか?)の中に、事業家に必要なのは「99%の冷静さと1%の情熱」といった話がある。

リーダーやマネージャーは、ファクトの基づく判断や、論理的な思考を重視しなければならないのだが、部下や周囲に対しては、必要に応じて「理」だけで押し通してはならない部分があることを肝に銘じなければならない。

むしろ、自分自身を前向きなスタンスにアップデートしておくことで、その発言によって、エモーショナルな印象を持たせて、周囲には「情」を感じさせるくらいがちょうど良いのだろう。

ネガティブな思考と言動をする悲観スタッフの活用

自分自身がポジティブになったとしても、組織で働く以上、ネガティブ思考の人と仕事をしなければならないことは多々ある。ネガティブ思考のスタッフはどのように生かすべきなのか?それは、ポジティブ思考が、現実回避思考になっていないかをチェックする役割だと思う。

名著、失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)にもあるように、「現実を直視せず、正しい情報が組織全体に伝達されず悲劇を拡大する」ことは事業運営において避けなければならない。特に、ファクトに基づいてポジティブに捉えることと、ファクトを自分の都合に良いように解釈し、周囲に嘘の情報を流すことは同じではないので、注意が必要なのだ。

意識的にやることも無意識的にやることも避けるためにも、悲観論者をあえてチームに残すのは有効な策になる。多様な考え方や捉え方が物事を成功に導く上では必要なのだ。とはいえ、悲観論者だらけでは、遅々として進まない恐れがあるので、割合をいかにコントロールできるかは、マネージャーの腕にかかっていると言える。 

 

とにかく、人の物事の捉え方は、1日で変えられるものではない。トレーニングの期間が必要なので、20代のうちに自己暗示をかける勢いで取り組む方が、プラスの恩恵に預かれるようになる。

江戸時代と明治時代を結ぶもの

明治になる前から、維新は始まっていた

国立科学博物館(上野)に週末立ち寄った。梅雨も明け、子供を炎天下で遊ばすわけにも行かず、屋内で時間がつぶせそうな場所だったので、行ってみた。

www.kahaku.go.jp

標本が多く飾ってあって、恐竜のコーナーも充実しているので、子供も喜ぶかなあと思っていたのだけど、一番はまったのは自分だった。それも、「地球館の2階(科学と技術の歩み-私たちは考え、手を使い、創ってきた-)」だ。

元々、近代の中では明治時代が大好きだった。「坂の上の雲」に代表されるような、どんどん広がって行く未来への希望とか、近代国家への駆け上がり方には他の時代にはないスピード感があるので好きなのだと思う。逆に、江戸時代は退屈なイメージしかなかった。

坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

 

ところがである。明治は、江戸時代から始まっていたのだ。

江戸時代は、情報が完全遮断された「鎖国」状態ではなかった

展示物の中に、江戸末期に作成された仕掛け時計「万年自鳴鐘(万年時計)」があった。説明を読み込むと、想像以上に、江戸時代の科学は進歩していたことが分かる。

西洋時計と和時計のほか、曜日や二十四節気、旧暦の日付、月の満ち欠け・・・。あらゆる"時の概念"、"匠の技"をひとつに凝縮したこの傑作の誕生により、嘉永5年(1852年)に「日本第一細工師」の招牌を受け、「田中久重」の名は世に知れ渡るところとなる。

toshiba-mirai-kagakukan.jp

 

そして、下記のブログにあるように、まさに時計は「魔改造」を施されていた。

bushoojapan.com

江戸時代は、近代的なものや科学的なものが存在しない世界だと思っていたけれど、医学の分野でも科学の分野でも、一定の進歩はあり、しかも諸外国からの情報は入ってきていたように思える。しかも、我々が勘違いしているだけで、相当なレベルだったのではないだろうか。

スタッフの戦術的な理解度が高い状態のおかげで、維新戦略は成功した?

教科書に書いてある内容が信じられないのは、この江戸時代の天才達がどうやって育てられたのかが良く分からないことである。そして、富国強兵とか、拓殖産業的な根性論やスローガンだけで、明治の近代化ができるとは到底思えないのに、そこがショートカットされてしまう。

私が思うに、明治政府も、維新という「戦略」を実行するためには、戦後の産業育成に必要な人材の確保にメドを付けておかなければならなかったはずだ。そうしなければ、ギャンブルになってしまい、下手をすれば、清や朝鮮半島など当時のアジア諸国と同じように諸外国の侵攻を受けることになるということは十重に理解していたと思う。

そういう意味では、既に、国内に一定数の「戦術」理解度の高い人材が揃っていたのは、救いになったのではないだろうか。だからこそ、欧州であれば「革命」に近いイベントで国を分けた血なまぐさい戦いになるはずが、明治維新は、思ったよりも戦死者が少なくなったのではないだろうか?榎本 武揚を始め、旧幕府側には、戦後すぐに活躍してもらわないといけない人材が多かったのではないかと思う。

この天才達を生みだしたのは、江戸時代の教育教育思想や仕組みなのだが、時代が変わっても原理原則に強いイノベーティブな人材を育て上げていた仕組みを日本にあわせてカスタマイズして持ち合わせていた点は、現代でも参考になるところがありそうに思える。

万年時計を開発した「田中久重」は、東芝の創業者だった

ちなみに、冒頭で紹介した時計の開発者の、田中久重は、その後も多くのプロダクトを作り出している。しかも、70過ぎてから東京に上京し、80過ぎるまで一線で指揮を取っていたようだ。

  • アームストロング砲
  • 電話機
  • 製氷機
  • 自転車
  • 精米機
  • 写真機
  • 昇水機
  • 改良かまど
  • 旋盤楕円削り機
  • 煙草切機
  • 醤油搾取機械
  • 種油搾取機
  • 報時機など

この、田中氏が創業したのが、実は「東芝」なのだ。知らなかった。

創業者は、稀代の発明家であったが、彼の死後は会社の拡大によって、創業当時の雰囲気は早々に消え去っていたのかもしれない。同様に、同時期にエジソンが創業していたGE社も、創業者の立ち去った後は、コングロマリットとして生き残っているところを見ると感慨深いなあと思う。そのGEと東芝は、戦前から資本提携していたことも、何かの因果を感じざるをえない。

会社よりも大事な、誰が上司になるか問題

就職&転職の際に多くの人が忘れていること

売り手市場ゆえなのか、就活生と面談すると、いくつかの会社の内定を持っているのだけど、どこの会社に行くべきか決めかねているという相談を良く受ける。自分はそうした相談を受けると、決まって聞き返すことがある。

「内定をもらっている会社で、誰の下で働くのか決まっているのか?」と。

大体の子はそんなこと考えたことが無かったと言う。そして決まっていないと言う。

特に働き始めの頃に、個人が仕事ができるように成長していくのは、会社ではなく、ロールモデルとなる上司(師匠)の関わり方によって、決まる部分が大きいことを忘れているのだ。これは非常にもったいないことだと思う。

極端なこと言えば、皆が羨ましがるような会社に入っても、ポンコツな上司の下に配属された場合、その自己満足の効能は1-2年のうちに吹っ飛び、「なぜこの会社を選んでしまったのか」、「他の同期たちは活躍していて羨ましい」と思い始めることになる。

あなたが配属されるのは、会社ではない。部署だ。
その部署の上司の変更はすぐには利かない。

なぜ、「誰が上司になるか」に拘るのかは、働き始めの20代の頃の時間がとても重要だからだ。20代は自分自身に向き合う時間・カネ・体力の「自由度」が多くあるのだ。

想像しておいた方が良いのは、30代が近づき、結婚して、家族が増えれば、20代の頃とは比べ物にならない位、制約が多くなっていくことだ。そうして、自分自身に対して、自由に費やせる時間も、カネも、体力も減って行く(変わりに、家族から提供される「幸せ」もあるけれど)。

この3資源をこれでもかというくらい先行投資していくのが20代で成長する極意なのかなあと思う。そしてその投資先の多くは、必然的に、最初に配属された部署の上司に委ねられるのだ。だからこそ、あなたの提供した「時間・カネ・体力」を最大限レバレッジしてくれる上司に巡り合えなければ、あなたが十分に成長しないうちに、ただただ資源は浪費され、次の世代の入社とともに入れ替えられる運命にある。

少なくとも、この瞬間における自分の未来の多くを、あなたは全くの見ず知らずの上司にかけている事を理解しておいた方がよい。

イチローだって紙一重で、凡選手になりかけた

どれだけの能力や天性を持っていても、組織の中から抜きん出るには、周囲の支えが無ければ難しい。どんなに素晴らしい大学を出ても、どんなに素晴らしいキャリアを積み上げていても、結局は組織である以上、周囲の関わりはゼロにはできない。

優秀な上司の下に配属されれば、模倣することで一気に成長スピードを速められるが、
肝心のロールモデルポンコツだと、そのロールモデルレベルにしかなれない。圧倒的な能力を持つ上司を持つことは凄い重要なのだ。そして、上司も出世し、更に大きな仕事を振ってくれるプラスの相乗効果が得られる。

天性の能力が周囲に理解されず、上司によって変わった例は、イチロー選手だろう。入団当時の監督には、彼特有の振り子打法が理解されず、2軍に落とされていた。そんな中、仰木監督が就任したことで、一気に世界的なプレイヤーまで駆け上がれたのだ。そして、仰木監督も、オリックスを優勝に導いたわけでWin-Winになれた。スポーツ界ではこんな事例はごまんとあるけど、ビジネス界も同様なのだと思う。

abematimes.com

ちなみに、私の新卒1年目は邦銀の開発部門だった。残念だけど、上司によってレバレッジされたと感じる部分は全く無かった(だから1年で退職した)。プログラミング開発に費やした時間分だけが、その後の自分の資産になっただけだった。

上司を自分で選ぶチャンスは手に入るか?

では、早い段階から、上司を選ぶ側に回るにはどうしたらよいのだろうか?新卒の場合、大企業への入社を決めた時点で、これはかなり難しいと思う。大企業では、誰と働けるか、入社前にお願いしたところでほぼ適わないのだ。

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採用にも関わっていた手前、感じるのは、新卒の採用人数はしょせん「リソース」だと考えている企業人事は多い気がする。だから、希望に満ちた新人の一人ひとりの個性や特徴を考慮して活躍できそうな部署を見つけ出す前に、人員が不足している部署の要求を満たす方を優先しがちに思える。

ここで、人数の小さな会社やベンチャー企業で働くメリットが出てくる。メリットは、誰と働けるかが事前にコントロールしやすいことなんじゃないかと思う。会社の顔となっている社長の近くで新卒が働く機会は大企業ではまずなさそうだし、成長著しいプロダクトを担当する部署を指名して入社するのも困難だろう。

けれども、小規模な企業であれば、可能性がまだあるのだ。プレスリリースで目にする「あのプロダクトを担当した○○さん」と一緒に働きたいという願いが叶う可能性が、大企業にいるときよりは少しでもあるわけで、これはメリットだと思う。

だからこそ、転職のタイミングは、新卒時代に叶わなかった、部署や上長指名での入社のチャンスなのだ。それなのに、また会社名で転職先を選ぶ人がまだまだ多いことを考えると、もったいないなあと感じる。

大企業で恵まれた上司に出会うのは、「運」にも左右される

こんなこと言ってしまうと元も子も無いけれど、大企業で、理想の上司を自力で勝ち取っていくのはどうすべきなのか自分でも結論は出ていない。会社を辞めようと思ったタイミングで、偶然アサインされたプロジェクトが、大当たりして、気が付いたら上司と一緒に昇格する事例もたくさん見てきた。

けど、誰かがアサインされるのには理由があるはずだ。

独りよがりに自分の能力を磨きこみすぎても、結局周囲のスタッフが気にしてくれなければ、宝の持ち腐れになるのだ。その能力を、1人でも多くの周囲のスタッフに気が付いてもらえるように、常に手助けしようと心がけ、他人のために使っていこうとするスタンスでいることが、結果として、自分の「売り込み」に繋がるのかもしれない。

まだ出会っていない、素晴らしい上司にいつか出会えることを期待して、毎日「徳」を積むしかないのだろうと思う。それが嫌ならば、小規模な会社に転職するか、会社を自分で設立するしかないのが現状ではないだろうか。

新商品の値付け(プライシング)方法

新サービスを開発すると避けて通れないのが値付けだろう。
無形のサービスやソフトウェア、デジタルコンテンツであろうと、有形のハードウェアであろうと値段を決めないことには売上が立たないし、利益が生み出されない。ところが、思ったよりも、社内に、値付けの経験を持った人はいないものだ。どうやって値段を決めていくのか少し掘り下げてみたい。

原価から計算して、一定の利益率を乗せて決定する方法

商品の値段(売上)の中身は、コストと利益で構成されていることは容易に想像が付く。そのため、その商品を提供するのにかかるコストを積み上げて、そこに欲しい利益率を掛け合わせて価格を決定しようとするのはスタンダードと思える。コストは、原価と販管費に分けて算定できるので、この方法だと割とスムーズに答えにたどり着けそうだ。

ただ、この方法には問題がある。コストから積み上げるだけなので、自己完結型の値付けになりやすいのだ。そのため、提供される商品が持つ、「世の中」的な「希少性」を無視しがちな点にある。だから、結果として、割安な料金設定となってしまう可能性を秘めている。本来は、提供する商品が、世の中に存在しないのであれば、強気な価格設定が可能である。最初から控えめに設定することで、自ら利益を削ってしまうことになりかねないので注意が必要だ。

消費者に、いくらまでなら払えるかを聞きだす方法

逆に、購入してもらう側(消費者)に聞き出す方式もある。
PSM(Price Sensitivity Measurement)分析という手法を使うことで、いくらだったら安すぎて買わないのか、いくらだったら高すぎて買わないのかを特定して行く。そして、ざっくり言えば、「安すぎる」カーブと「高すぎる」カーブの交点がベストな値付けだとするやり方だ。ある意味、他己完結型の値付けになる。

この方法の問題点は、実際に使ってみると分かるのだが、交点は比較的割安な方に流れがちなことが上げられる。だから、このやり方も不十分だと思う。

www.macromill.com

浅く広く稼ぐか/深く狭く稼ぎ出すのかで、値付けのポリシーは変わる

コモディティ化してどこの会社でも提供できる商品の場合、値付けも「同質化」に向かいがちで、他社よりも1円でも安く提供し、コストも切り詰めて1円でも多く利益が出るようになりがちである。こちらのケースにおいては、実は値付け(マーケティング)の出番は少ない。

逆に、世の中に存在しなかった商品であれば、値付け自体がブランディングに繋がる可能性があるので、ここは大事に検討した方が良い。基本的に、値段は聞き手の商品に対する勝手な期待を高める効果を持つ。消費者は、高い商品については、高付加価値や希少性とかの何かの理由があって高いはずだと直感的に考えるものだ。

例えば、ワインの価格は、原価から積み上げて考える人には到底理解できない価格設定となる。けれども、モノには、物的な価値に加えて、「経験」という質的な価値があることを理解できれば、「二度と味わえない」とか「もう、製造されない」とか「再現できない」となると希少性がぐいぐい上がり、投機目的の購入も増えたりすることがよく分かる。だから、当初の想定価格を大幅に超えていく。製造側も、商品自体がすぐに欠品することで、本当に買って欲しい人に買ってもらえなくなることを防ぐために、値段をどんどん上げていく。

toyokeizai.net

okutta.blog.jp

では、いくらまで値付けは高くしてよいのか?上限は、売り込みたい消費者の中で、マジョリティとなるセグメントの予算状況(可処分所得)を把握し、その何%を取り込めるか考えるのが楽である。

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例えば、子供の習い事の事業に参入する場合、おおよその平均月謝は15,000円程度と言われている。この15,000円のうち、自分達のサービスがいくら程度抑えられるか(抑えたいか)という観点で考えればよい。そして、全体平均で見るよりも、世帯年収などで更に分けて考えたほうがよりターゲットが鮮明になるので理想的である。

全世帯から均等に5,000円を頂くよりも、アッパー層から30,000円頂く方が結果的に良かったりもするのだ。全員を対象にしてプライシングするのは絶対的に避けたほうが良い。

benesse.jp

事後の値上げは大変。事後の値下げは簡単。

事後の値上げは、既存顧客への説明や、販促物の差し替えなどで結構なパワーを使うだけど、事後の値下げはあっけなくできてしまう。だからこそ、初期の価格設定については慎重に野心的に取り組むべきだと思う。

また、値付けの経験がないと、どうしても売れ行きを心配して、過度に安く設定しがちなので、思い切って、最初に思った価格設定の3倍くらいの価格設定にしてみると良かったりする。そうすると、ヌルイ商品コンセプトでは、むしろお客様に失礼になるために、コンセプト自体の磨きなおしに目を向けることになるからだ。自分自身にプレッシャーを掛けてみるのも悪くない。

いずれにせよ、コストを削って利益を捻出することを考えれば、十分な価格を設定して売上を稼ぎ出す方が絶対にいいので、それくらいのスタンスでやってみた方が良い。

海外勤務なのに、英語力が追いつかない人はどうすればよいのか

その日は突然来た

わずか2年弱ではあるけども、サンフランシスコのオフィスで働いていた。
それまでは、英語が大嫌いで、大学でも第一外国語をスペイン語を選択していた位の酷さだった。中学受験以来、ほとんど英語の勉強はしていなかった。だから、30才過ぎても極力使わずに避けてきたのに、その日は突然来た。

「では、あさって10時に、サンフランシスコのオフィスで待ち合わせで」

その当時、ソーシャルゲームを開発する会社に勤務していて、会社は北米市場に打って出ようとしていた。そのために、すでに米国のスタジオを買収し子会社化していた。けれども、なかなか成果の上がってこない子会社に痺れを切らした本社は、マーケティングの梃入れをすることになった。そうして、国内のマーケティング経験があった自分が、現地子会社オフィスに赴くことが決まった。

しかも、現地へ赴くことが決まった会議で、「あさって10時にサンフランシスコに集合」と言い渡された。国内出張で大阪に行くくらいの感覚で言われた。だから、全く心の準備もできず、語学の補修(補習)もできず、海外出張用のスーツケースすら準備できなかった。緊張しながら「ビジネス出張 入国 受け答え」とかググッていたのが思い出せる。

そして、米国への出張にはパスポートだけじゃなくて、ビザが無ければESTAが必要だという当たり前を理解したのもこのときだった。

jp.usembassy.gov

すべてが不安

当然のことだが、英語から距離を置きすぎたので、ただでさえ入国審査も不安なのに、ビジネス目的での滞在という初めての経験が更に不安を掻き立てられた。現地について指定のホテルに移動するのも不安。指定されたオフィスまで移動することも不安。現地スタッフとのミーティングは更に不安。ありとあらゆるものが不安で、全く楽しみに出来なかった。

現地のオフィスに何とか着いて、向こうのスタッフと一緒に会議を始めたのだけど、何も言ってることが分からずただただ、虚しかった。一緒に同行してる海外経験の豊富なスタッフのおかげで、通訳してもらってやっと理解できるけど、議論が白熱すれば、通訳は間に合わないので自分だけ放置されてしまうこともあった。

このとき、初めて自分の語学力を心の奥底から後悔した。情けないなと。
とにかく意見を伝えられない。反論も出来ない、同意も出来ない。だから指示が出せない。結果が残せない。

そして、一番へこんだのは、現地のスタッフから言われた一言だ。

「I removed your account.」

マーケティングの現地戦略を立てるために、過去の重要なローデータへのアクセスが必要だった。だから、言葉が通じず、ろくにコミュニケーションが全然取れない日本から来たスタッフであっても、渋々、現地の担当者はアクセス権を与えてくれた。

しかし、この日本人(私)は、このデータを次にどう扱おうとしているかを説明するのに十分な言語力が無かった。だから、彼らには不安だったと思う。例えば、扱い方次第では、現地スタッフの処遇が悪くなることも考えられるわけである。だから、極力、意思決定に重要なデータへ私が接触しにくくしたのかなあと思う。

そして、タイミングを見て何かの理由をつけてシャットダウンされた。
ただ、とにかく相手から、拒絶されたことは良く分かった。

当座は、できない語学よりも、できることに集中

とはいえ、いきなり語学が出来るようになるはずもない。そこで、語学の習得をしつつも、現地のスタッフとの協働ができる状態を目指すことにした。現地でも通用しそうな自分の武器を見直すと、マーケティングの専門知識と経験しかやはりないことに改めて
気が付かされた。なので、現地のスタッフが最も必要としているものを提供することにした。

当時は、アプリに対するプロモーションの体系だったロジックが定まっていなかった。
だから担当者が思い思いに「このアプリはイケテルと思うから大目にプロモーションする、このアプリはそんなにグラフィックの仕上がりが良くないからプロモーションはしない」的に感覚で判断をしているので、データに基づいた判断が少なかった。だから損をすることの方が多いので、次第にマーケティングコストの投下を渋るようになっていった。

そこで、日々のパフォーマンスデータを過去分も含めて集計できる期間全てを取得し直し、向こう3ヶ月~1年の収益予想モデルを組み立てることにした。これにより、ローンチ後、数週間の時点で、将来の売上予測(LTV予測)を可能にし、プロモーションの投下限界を示すことができるのだ。こうすれば、黒字運営が可能である。

改革よりも、小さな成果を共有し一緒に変化を起こすことが大事

予測モデルを作るのには、ローデータがどうしても必要だった。けれども、データアクセス権を取り上げられていたので、日本語ができる現地スタッフを見つけ出して、仲良くなって勝手に頼み込み、正規ルート以外の方法でローデータを取得したりした。

こうして出来上がった予測モデルの効果は絶大だった。データ上、パフォーマンスが確認できれば、ローンチ直後に一気にプロモーションを投下できるので、ダウンロードも獲得できるし、それで売上も一気に積みあがった。iOSでもAndroidでもGrossing Rankingの上位に喰いこんだ。

結果が出てきたことで、現地のスタッフとの関係性は敵対や疑心暗鬼から、信頼に変化していった。そこからは、提案も通りやすくなり、私のつたない英語であっても、相手からの譲歩(忍耐)のおかげで何とか考えを汲み取ってもらえるようになってきた。やっと、手ごたえが出てきた。

アプリ開発チームからも、マーケ担当者の主観で決まっていたプロモーションルールが、データドリブンに改められたので、一定のパフォーマンスを出せば、大きく育ててもらえることが周知できた。だから、彼らのモチベーションアップにも繋がったと思う。

ホワイトボードと大き目のキャンパスノートにグラフを書き起こす

この経験から、専門知識があれば、国籍を問わず、尊敬を集めることができることも理解できた。そして、抽象的な考えや思いを披露するのに比べて、定量的な数字を元にしたプレゼンテーションであれば、多少の言語力と、事前の準備さえあれば、粗方乗り切れることを知れたのは大きかった。

ホワイトボードと、大き目のキャンパスノートを多用するようになったのもこの頃からだった。同行していた海外経験豊富なスタッフですら、海外のスタッフとコミュニケーションを計る際に使っているのだから、語学が不自由な自分が使わない理由は一切無くて、どんどん真似させてもらった。

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ビジュアル的に説明し、知っている単語を書き添えるだけで、コミュニケーションは一気に深められる。口頭で一生懸命に文章を組み立てるよりも、圧倒的に説得力を持たせられるので有効だった。

日常業務(主にメール)に使う言語を優先して覚える

言語の習得も、大学で履修するのが目的じゃないので、仕事上のパフォーマンスに直結する単語をひたすら覚えていった。だから、日常生活で飛び交う、何気ない挨拶とかの方は、みんな早口だし、よっぽど難しくて、いまだに上達していない(苦笑)。

完全に読み込んだのは、すごい「英単語手帳」―仕事ができる人の英語常識755 (知的生きかた文庫)くらいで、あとは、同僚から来るメールの中に登場する知らない単語を、メモして覚える方式にした。途中から、Facebook上に、自分しかいない「英語」Groupを作成し、そこに単語と意味を書き込む方式にすることで、スマホでアクセスできるようにしていった。

説明は単文(短文)にする。難しい単語を無理に多用しない

同行者の中で、海外のスタッフとのコミュニケーションが上手い人がいた。彼の特徴を真似しようと思って、よく観察していると分かったことがあった。

  • 決して発音がネイティブなみにきれい(流暢)ではない
  • 利用する単語のバリエーションは少ない。ずば抜けて難しい単語を多用しない
  • 文章は短くする。関係代名詞的なものは多用しない

現地のスタッフと同じように流暢に言語を扱うことと、業務を遂行することは全く別物だったことに気がつけたおかげで、肩の力が抜けて、楽になった。

そして、ちょうど、その頃、ハーバード大学に留学したGabaの創業者の青野さんの本と出会えた。自分が思っていたことと結構重なることが多くて、納得した。

欧米人を論理的に説得するためのハーバード式ロジカル英語

欧米人を論理的に説得するためのハーバード式ロジカル英語

 

話しかけられる前に、自分から話しかける

最初は、話すのがとっても苦手だった。話しかけられると、相手が何を言っているのかの理解から始めないといけないので、そこが憂鬱で、いつも緊張していた。分かっていないのに分かってるふりをするのはもっと辛かった。

そこで、自分から話しかける方式にした。そうすることで、事前に話したいフィールドを自分で定められるから、頭の中で準備ができるようになった。たまに、脇にそれてしまうこともあって焦るが、それでも今までよりも緊張せず、圧倒的に楽に話せるようになった。

専門知識と経験は、ビザ取得をアシストしてくれた

それに、専門知識と経験のおかげで、私はビザの取得ができたのも大きかった。
日本で働いている限り、ビザのことはあまり考えることは無いと思う。けれども、ビザを取得できたおかげで、家族を日本から呼び寄せることもできた。家を借りることも出来たし、自動車免許も取得できた。こうして現地で生活が始まった。

ちなみに、米国ビザの取得のため、米国大使館に行って審査を受けたのは今となってはいい思い出だ。個室でゆったりしたソファにでも腰掛けながら、大使館員と会話しつつ、審査を受けるのかと勝手に思い込んでいたが、実際には、まるで、選挙の投票所とか、自動車の免許センターみたいなカウンターが並ぶところで、ガラス越しに立ちっぱなしで、審査を受けることになるとは知らなかった。

○大使館の面接の勝手なイメージ

○実際の面接の流れ

語学があればもっとイニシアチブを取れたはず

とはいえ、専門知識に加えて、語学があればもっとイニシアチブを発揮できたと今でも思う。そして、もっと早く成果に辿りつけたはずだと思う。日本のオフィスだったら、すぐにできることが、たかだが言語のせいで制約されてしまうのは、もったいない。

海外での勤務を期待して、自分からチャンスを掴むこともあるだろうし、私のようにチャンスが勝手に放り込まれることもある。いずれにしても、語学は、準備しておいて損は無いからやっておいたほうがいいよと、10代の頃の自分に会ったら言ってあげたい。

逆算的なキャリアアップの勧め

新卒スタッフが入社してくるシーズンとなり、入社したばかりの若手から「どうやってキャリアを積んでいくべきか」と相談を受けることが多いので、私が考えていることを書いてみた。

がむしゃらに仕事に没頭すれば、自分で満足できるキャリアを得られるわけではないと私は考えている。人生にはある程度の計算が必要だが、逆算的に歩むためには、どうしたらいいかの参考になれば幸いだ。

キャリアは、自分が歩んできた過去の積み上げである

スガシカオのProgressという名曲の中に、こんな一節がある。

ずっと探していた理想の自分ってもうちょっと格好良かったけれど、ぼくが歩いてきた日々と道のりをほんとは”ジブン”って言うらしい

キャリアとはまさにこれだ。その人の「今」は断片的であり、これまでに何をやってきたかが最も重要である。

西海岸のベンチャー起業家や周囲で活躍している先輩はかっこいい。けれども、大概、成功している人というのは、関係が浅い第三者に対して、地味な業務の積み重ねや、思い出すのも嫌な失敗や、情けなかった経験をつまびらかにはしないものだ(メンツの問題もあるが、失敗こそが重要な資産であることを一番理解しているからでもある)。

だからこそ、大切なのは、多かれ少なかれ成功者であっても、ずっと日の当たる道を歩いてきたわけではなくて、成功している「今」と比べれば、圧倒的に不遇な時間を過ごしていた時もあるということを理解することである。思ったような仕事を任されない時期もあるかもしれないが、一定の期間はそれを受け入れるのも肝要である。間違いなく様々な気づきがある。

正しいフォロワーシップを発揮できる人材になること

個人の能力を高めていくためには、仕事を通じて経験を積み上げる必要がある。ただし、そのためには、配属された組織の中で孤立せずにチームに貢献していくのは大変重要なテーマである。1メンバーとして目指すべき姿としては、リーダーにとっての「パートナー」となることである。

下記は、アイラ・チャレフ著『ザ・フォロワーシップ』に書かれている内容であるが、1メンバー(フォロワー)であっても、そのスタンスによって分類できる。 

ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

 

 

テンプスタッフ社ホームページより引用

ついつい成果を出すことに夢中になりすぎたり、他の人からの見え方を気にして恰好つけようとして独りよがりな提案をしていたりしないだろうか?逆に、言われたことしかやらない状態に留まっていないだろうか?

大切なのは、配属された組織のリーダーから、まずは信頼を勝ち取り、任される職責範囲を広げていくことだ。この広がりが無ければ、社内ですらキャリアアップしていくことは困難になる。

president.jp

知ってる・できる・続けている・稼げる

ある分野においてプロフェッショナルを目指す上では、自分が何かについて「知ってる・できる・続けている・稼げる」のどの状態にあるのか、客観的に把握しておかなければならない。

プロというのは、「稼げる」状態であるべきだし、常にその状態を目指すべきだと思う。「知ってる」だけの薄っぺらい人材は、Google検索やらAIに代替されてしまう。「できる」人材は、単に「やったことがある」だけではないのか考えなければならない。

私はネットサービスに長く関わっているので、新卒スタッフや中途のスタッフでも、事業部にアサインされたのに、「個人でアフィリサイトを立ち上げて一円も稼いだことのない人材」を結構見てきた。

野球選手になったのに、草野球すらしたことが無い状態であることを理解していなし。悲しいし、せっかくの機会なのにもったいない。

前述のフォロワーシップにも関係するが、誰かから与えられなければ何もできない状態ではこの先戦えない。この手のスタッフは、草野球(個人アフィリ)ですら、厳しいヒエラルヒーが成立していることを理解していない。

下記のアフィリエイトに関する統計データは10年くらい取られているけど、ほとんど変わってなかったと記憶している。要するに、仮に始められても、続けられるかどうかは全く別の問題なのだ。

アフィリエイトでの1ヶ月の収入は、全回答者 2,394 名のうち「収入なし」が 23.6%と突出し、「1000 円未満」が 17.4%であった。「収入なし」「1000 円未満」の 2 回答で約 40%を占めた。一方で月 100 万円を超える割合が、全回答者の 10%超存在し、昨年度の約 2 倍の比率となった。
日本アフィリエイトマーケティング協会

アフィリエイトという仕組みを「知っている」、そして実際にサイトを運営「できた」、そして「続けている」に深く関わるのが、「稼げている」かどうかであろう。結局、稼ぎ出せなければ、本人のモチベーションも続かないし、周囲の期待もあがらない。

情報の一次ソースになる

「人でも物事でも、よく知る努力をしない限り、何も知ることはできない。知ることに近道はない。特に個人的な経験によって得られる知識に近道はない。努力なしの近道や手垢のついた常識に頼るくらいなら、何も知らないほうがよほどましだ。」ベン・ホロウィッツ「Hard Things」 

HARD THINGS

HARD THINGS

 

ビジネスにおいて、周囲からの信頼を勝ち取るには、自分が任された領域が抱える課題について、誰よりも丁寧で、そして深い知見が必要になる。これはインターネットで時間をかけてググって済ませられるものではなくて、実際に現場に配属されて体感した経験が重要であり、特に、顧客と向き合いクレーム(たまには感謝)を直接面と向かって言われたような「生々しい」経験ほど資産となりやすい。

少なくとも、新人で配属された時点では、会社の先輩や経営陣と比べて実績はないので会議などでの発言力や影響力は持ちにくい。だが、先輩たちは、年次があがるにつれて、この「生々しい」経験をすることが少なくなるものだ。これこそが、「足で稼げる」情報であり、知識や経験が豊富な諸先輩と互角に打ち合うための材料になりうる。

この情報をたくさん持っている新人スタッフほど、上長から重宝されやすくなり、必然的に新しい仕事を割り振ってもらえる確率が上がる。つまり、自分が情報の一次ソースになることで、上長がググるよりも適切な情報を提供できる立場になればいいのだ。これは、上述のフォロワーシップにある「パートナー」的な役回りともいえる。

20代で1/100。30代で1/10000の人材になる

単純な話、給与(稼ぎ)を増やしたいのであれば、世の中的に貴重な人材になればよいのだ。プロ野球選手、外科医、パイロット、プロ経営者(MBA)など世の中で高給取りな仕事をしている人たちは、突き詰めて考えれば、その仕事を得るためには高い制約条件がある職種にいるわけだ。結果として、任せられる担い手が少ないために希少性が高くなり、稼ぎは大きくなるという構造にある。

このことはどのレイヤーの仕事においても同じことが言える。とにかく、マーケットが必要とする稀有な存在になる努力が必要だ。決して、今、在籍する会社の歯車として求められるだけの人材では駄目だ。

レアな人材になって付加価値を高めるには、まずいまの仕事で100分の1の人材にならなくてはいけない。100分の1と聞いて腰が引けるかもしれないが、実はそれほど難しくない。マルコム・グラッドウェルは『天才!成功する人々の法則』で、さまざま実例をあげながら、どんな人もある分野について1万時間練習すれば、その道のマスターになれることを示した。1万時間は、1日8時間、年間200日働いたとして約6年。営業でも、経理でもいい。多少の個人差があるかもしれないが、その仕事を少なくても10年真面目にやれば、誰でも自ずと100人に1人のレベルに達するのである。

logmi.jp

藤原さんの話の中にもあるが、1分野で1/1,000,000の人材になるのは相当に難易度が高いことではあるが、3つの分野で1/100を目指すのは、無理がなくて現実的な目標にしやすいと思う。

特に、「1万時間を費やせば、ひとつの分野で1/100の人材になれる」という指針は、腹落ちした。1日8時間×365日×3年≒10,000時間なのだ。

私はエンジニアとしては1/100になれなかった。費やした時間が明らかに足りなかった。1年で諦めてしまったからというのが根本的な原因だったのだろう。しかし、その後転職して、「ネットサービスのプロデューサー(7年)」→「海外でアプリマーケのスペシャリスト(2年)」→「新規事業開発のスペシャリスト(3年)」という経歴を辿ったが、それぞれにおいては1/100になれたのかもしれない。二つ目の海外の仕事は激務で、1日8時間どころではなかったから2年で10,000時間を超えたと思う。

結果として、ある程度のユニークな人材に30代中盤までに変化できているのはラッキーだった。

自己評価・社内評価・社外評価

20代の頃に尊敬している先輩から教わったことの一つに、「毎年、職務経歴書を書き直し、ヘッドハンターに開示しておく」ことがある。これによって、自己認識を正すと同時に、在籍している会社における自分の評価がマーケットの視点で見た場合にどうなのかを確認している。

最近では、国内ならビズリーチ、海外ならLinkedinを使えば、ヘッドハンターとの接触は容易になってきているので、試してみるとよい。

例えば、一年間自分なりに頑張ったとしても給与や処遇が上がらないことは多々ある。そんな時に、つい会社や上長など環境に責任があると思いたくなるが、本当にそうなのかを見極めることは、キャリアアップの重要な視点であるのだ。かっとなり、感情に任せて転職しても上手くいかない。

もしも、「社内評価<社外評価」であれば、自分の思い込みは正しいのだ。職場を変えたりして環境を見直すことはありだと思う。おそらく転職によって、新しいポジションを確保できたり、給与などの処遇も改善できる可能性は高い。何よりも気持ち良く働ける状態にあることは、大事だからだ。

しかしながら、「社内評価>社外評価」の状況にあることを、突きつけられた場合、環境を恨みたくなる気持ちはグッと堪え、また1年間、在籍先で活躍することを誓った方がいいだろう。このケースでは、転職しても満足行く結果にはなりにくいからだ。

むしろ、マーケット評価よりも高い給与や処遇を与えてくれている環境にいることに感謝し(感謝したくない気持ちもあるだろうが)、まずは社内と社外の評価をイーブンにもっていけるように努めることをお勧めしたい。