Intrapreneur Marketing Note

最新のマーケティングトピックスや事業開発の手法について記録していきます

逆算的なキャリアアップの勧め

新卒スタッフが入社してくるシーズンとなり、入社したばかりの若手から「どうやってキャリアを積んでいくべきか」と相談を受けることが多いので、私が考えていることを書いてみた。

がむしゃらに仕事に没頭すれば、自分で満足できるキャリアを得られるわけではないと私は考えている。人生にはある程度の計算が必要だが、逆算的に歩むためには、どうしたらいいかの参考になれば幸いだ。

キャリアは、自分が歩んできた過去の積み上げである

スガシカオのProgressという名曲の中に、こんな一節がある。

ずっと探していた理想の自分ってもうちょっと格好良かったけれど、ぼくが歩いてきた日々と道のりをほんとは”ジブン”って言うらしい

キャリアとはまさにこれだ。その人の「今」は断片的であり、これまでに何をやってきたかが最も重要である。

西海岸のベンチャー起業家や周囲で活躍している先輩はかっこいい。けれども、大概、成功している人というのは、関係が浅い第三者に対して、地味な業務の積み重ねや、思い出すのも嫌な失敗や、情けなかった経験をつまびらかにはしないものだ(メンツの問題もあるが、失敗こそが重要な資産であることを一番理解しているからでもある)。

だからこそ、大切なのは、多かれ少なかれ成功者であっても、ずっと日の当たる道を歩いてきたわけではなくて、成功している「今」と比べれば、圧倒的に不遇な時間を過ごしていた時もあるということを理解することである。思ったような仕事を任されない時期もあるかもしれないが、一定の期間はそれを受け入れるのも肝要である。間違いなく様々な気づきがある。

正しいフォロワーシップを発揮できる人材になること

個人の能力を高めていくためには、仕事を通じて経験を積み上げる必要がある。ただし、そのためには、配属された組織の中で孤立せずにチームに貢献していくのは大変重要なテーマである。1メンバーとして目指すべき姿としては、リーダーにとっての「パートナー」となることである。

下記は、アイラ・チャレフ著『ザ・フォロワーシップ』に書かれている内容であるが、1メンバー(フォロワー)であっても、そのスタンスによって分類できる。 

ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

 

 

テンプスタッフ社ホームページより引用

ついつい成果を出すことに夢中になりすぎたり、他の人からの見え方を気にして恰好つけようとして独りよがりな提案をしていたりしないだろうか?逆に、言われたことしかやらない状態に留まっていないだろうか?

大切なのは、配属された組織のリーダーから、まずは信頼を勝ち取り、任される職責範囲を広げていくことだ。この広がりが無ければ、社内ですらキャリアアップしていくことは困難になる。

知ってる・できる・続けている・稼げる

ある分野においてプロフェッショナルを目指す上では、自分が何かについて「知ってる・できる・続けている・稼げる」のどの状態にあるのか、客観的に把握しておかなければならない。

プロというのは、「稼げる」状態であるべきだし、常にその状態を目指すべきだと思う。「知ってる」だけの薄っぺらい人材は、Google検索やらAIに代替されてしまう。「できる」人材は、単に「やったことがある」だけではないのか考えなければならない。

私はネットサービスに長く関わっているので、新卒スタッフや中途のスタッフでも、事業部にアサインされたのに、「個人でアフィリサイトを立ち上げて一円も稼いだことのない人材」を結構見てきた。

野球選手になったのに、草野球すらしたことが無い状態であることを理解していなし。悲しいし、せっかくの機会なのにもったいない。

前述のフォロワーシップにも関係するが、誰かから与えられなければ何もできない状態ではこの先戦えない。この手のスタッフは、草野球(個人アフィリ)ですら、厳しいヒエラルヒーが成立していることを理解していない。

下記のアフィリエイトに関する統計データは10年くらい取られているけど、ほとんど変わってなかったと記憶している。要するに、仮に始められても、続けられるかどうかは全く別の問題なのだ。

アフィリエイトでの1ヶ月の収入は、全回答者 2,394 名のうち「収入なし」が 23.6%と突出し、「1000 円未満」が 17.4%であった。「収入なし」「1000 円未満」の 2 回答で約 40%を占めた。一方で月 100 万円を超える割合が、全回答者の 10%超存在し、昨年度の約 2 倍の比率となった。
日本アフィリエイトマーケティング協会

アフィリエイトという仕組みを「知っている」、そして実際にサイトを運営「できた」、そして「続けている」に深く関わるのが、「稼げている」かどうかであろう。結局、稼ぎ出せなければ、本人のモチベーションも続かないし、周囲の期待もあがらない。

情報の一次ソースになる

「人でも物事でも、よく知る努力をしない限り、何も知ることはできない。知ることに近道はない。特に個人的な経験によって得られる知識に近道はない。努力なしの近道や手垢のついた常識に頼るくらいなら、何も知らないほうがよほどましだ。」
ベン・ホロウィッツ「Hard Things」 
HARD THINGS

HARD THINGS

 

ビジネスにおいて、周囲からの信頼を勝ち取るには、自分が任された領域が抱える課題について、誰よりも丁寧で、そして深い知見が必要になる。これはインターネットで時間をかけてググって済ませられるものではなくて、実際に現場に配属されて体感した経験が重要であり、特に、顧客と向き合いクレーム(たまには感謝)を直接面と向かって言われたような「生々しい」経験ほど資産となりやすい。

少なくとも、新人で配属された時点では、会社の先輩や経営陣と比べて実績はないので会議などでの発言力や影響力は持ちにくい。だが、先輩たちは、年次があがるにつれて、この「生々しい」経験をすることが少なくなるものだ。これこそが、「足で稼げる」情報であり、知識や経験が豊富な諸先輩と互角に打ち合うための材料になりうる。

この情報をたくさん持っている新人スタッフほど、上長から重宝されやすくなり、必然的に新しい仕事を割り振ってもらえる確率が上がる。つまり、自分が情報の一次ソースになることで、上長がググるよりも適切な情報を提供できる立場になればいいのだ。これは、上述のフォロワーシップにある「パートナー」的な役回りともいえる。

20代で1/100。30代で1/10000の人材になる

単純な話、給与(稼ぎ)を増やしたいのであれば、世の中的に貴重な人材になればよいのだ。プロ野球選手、外科医、パイロット、プロ経営者(MBA)など世の中で高給取りな仕事をしている人たちは、突き詰めて考えれば、その仕事を得るためには高い制約条件がある職種にいるわけだ。結果として、任せられる担い手が少ないために希少性が高くなり、稼ぎは大きくなるという構造にある。

このことはどのレイヤーの仕事においても同じことが言える。とにかく、マーケットが必要とする稀有な存在になる努力が必要だ。決して、今、在籍する会社の歯車として求められるだけの人材では駄目だ。

レアな人材になって付加価値を高めるには、まずいまの仕事で100分の1の人材にならなくてはいけない。100分の1と聞いて腰が引けるかもしれないが、実はそれほど難しくない。マルコム・グラッドウェルは『天才!成功する人々の法則』で、さまざま実例をあげながら、どんな人もある分野について1万時間練習すれば、その道のマスターになれることを示した。1万時間は、1日8時間、年間200日働いたとして約6年。営業でも、経理でもいい。多少の個人差があるかもしれないが、その仕事を少なくても10年真面目にやれば、誰でも自ずと100人に1人のレベルに達するのである。

logmi.jp

藤原さんの話の中にもあるが、1分野で1/1,000,000の人材になるのは相当に難易度が高いことではあるが、3つの分野で1/100を目指すのは、無理がなくて現実的な目標にしやすいと思う。

特に、「1万時間を費やせば、ひとつの分野で1/100の人材になれる」という指針は、腹落ちした。1日8時間×365日×3年≒10,000時間なのだ。

私はエンジニアとしては1/100になれなかった。費やした時間が明らかに足りなかった。1年で諦めてしまったからというのが根本的な原因だったのだろう。しかし、その後転職して、「ネットサービスのプロデューサー(7年)」→「海外でアプリマーケのスペシャリスト(2年)」→「新規事業開発のスペシャリスト(3年)」という経歴を辿ったが、それぞれにおいては1/100になれたのかもしれない。二つ目の海外の仕事は激務で、1日8時間どころではなかったから2年で10,000時間を超えたと思う。

結果として、ある程度のユニークな人材に30代中盤までに変化できているのはラッキーだった。

自己評価・社内評価・社外評価

20代の頃に尊敬している先輩から教わったことの一つに、「毎年、職務経歴書を書き直し、ヘッドハンターに開示しておく」ことがある。これによって、自己認識を正すと同時に、在籍している会社における自分の評価がマーケットの視点で見た場合にどうなのかを確認している。

最近では、国内ならビズリーチ、海外ならLinkedinを使えば、ヘッドハンターとの接触は容易になってきているので、試してみるとよい。

例えば、一年間自分なりに頑張ったとしても給与や処遇が上がらないことは多々ある。そんな時に、つい会社や上長など環境に責任があると思いたくなるが、本当にそうなのかを見極めることは、キャリアアップの重要な視点であるのだ。かっとなり、感情に任せて転職しても上手くいかない。

もしも、「社内評価<社外評価」であれば、自分の思い込みは正しいのだ。職場を変えたりして環境を見直すことはありだと思う。おそらく転職によって、新しいポジションを確保できたり、給与などの処遇も改善できる可能性は高い。何よりも気持ち良く働ける状態にあることは、大事だからだ。

しかしながら、「社内評価>社外評価」の状況にあることを、突きつけられた場合、環境を恨みたくなる気持ちはグッと堪え、また1年間、在籍先で活躍することを誓った方がいいだろう。このケースでは、転職しても満足行く結果にはなりにくいからだ。

むしろ、マーケット評価よりも高い給与や処遇を与えてくれている環境にいることに感謝し(感謝したくない気持ちもあるだろうが)、まずは社内と社外の評価をイーブンにもっていけるように努めることをお勧めしたい。

マネジメントスタッフの評価に必要なこと

組織の中で、運営の鍵を握るはずのマネジメントスタッフだが、評価軸がはっきりしない会社はまだまだ多い。これまでの経験を基に、優秀なマネージャーを見つけ出すのに便利な指標をメモしておく。

「自分よりも優秀な人材を採用・育成できているか」

結局のところ、どの階層のマネジメントであっても、これに尽きる。
マネージャーは、自分より優秀なリーダーを見つけ出せたか?
経営ボードは、自分より優秀なマネージャーを見つけ出せたのか?

Aクラスの人は、Aクラスの人と一緒に仕事をしたがる。Bクラスの人は、Cクラスの人を採用したがる。A-level people want to work with A-level people. B-level people tend to hire C-level people.──Silicon Valley proverb

一年間で一人も自力で採用できていない役員とかマネージャーがよくいるが、一番重要な仕事を怠っていると言える。最終面接に出ればいいというものではない。自分の肩書をフル活用して、引き抜きたい人材層にアプローチし続けているかどうかが重要なのである。

「仕事をいくつ生み出してきたか」

魅力的な仕事を創造できると、仕事をフックとして、優秀な人材を外部から引き抜いたり、社内から集めることができるようになる。給与などの条件で他社に負けることがあっても、仕事内容自体に魅力が込められるようになると、候補者の興味や関心に働きかけができるようになるので、中途採用においては武器になる。また、仕事が創造できるようになると、社内の他のスタッフからの評価も、「面白そう」「楽しそう」「イキイキしている」といったポジティブなものになるため、公募や異動などで、自分の部署を指名してくれる確率が上がる。こうすることで、優秀な人材が集めやすくなる。

出来の悪いマネージャーは、仕事は生み出すのではなく「与えられる」というスタンスであることが多い。そのため、与えられた仕事を推進するために、足りないパーツを埋めようと頑張るが、そんな仕事は候補者にとっては全く魅力的ではないので、優秀な人材は遅々として集まらない。

「部下の育成はできたのか?(社内表彰は?)」

育成の結果がどうだったのか、TOEICのように点数で計れるものは少ない。
言葉にするならば、「次のタームで、任せる仕事内容がレベルアップしそうか?」だと思う。ただ、この観点では、自分の配下チームメンバーであれば、与える仕事内容を変えることはできるが、有効範囲が狭い。

もしも、部下の将来を考えて、本気で育成するのであれば、他のグループからも認められやすい、「社内表彰」を取らせておくことをお勧めする。社内表彰を取ることで、全社プロジェクトへのアサインなどが決まりやすくなり、本人のキャリアにとってもプラスになるためだ。

ハーバードビジネスレビューの中で、「部下の仕事の満足度は上司の専門技能に左右される」という論文があった。

結論はこうなる。従業員が最も喜びを感じるのは、「経験に裏打ちされた知識を持つ上司」の下で働くときであり、その喜びが仕事のパフォーマンスをも高めるのだ。

www.dhbr.net

新しいスタイルのマネージャーは「エキスパート・リーダーシップ」があるそうだ。単なる世話焼きではなく、実践的で具体的なサポートが出来なければ、マネジメントの価値は無くなってしまう。

「ポストをいくつ作ったか」

自分の配下のスタッフを育成したのちは、速やかにマネジメントのポストを与え、経験を積ませていく必要がある。マネジメント経験の有無は、キャリアにおいて明確な差となるので、部下の将来を本気で考えるなら、四の五の言わず経験させなければならない。そのためにも、前段の仕事を生み出す必要性がある。仕事が発生するということは、遂行に必要なポストが生まれる可能性が高いので、ポストにつけやすくなるからだ。

もしも、ポストを新たに生み出せなくても、自分よりも優秀だと思うスタッフに対しては、自分のポストを代わりに差し出していくくらいの覚悟が必要だろう。自分より優秀なスタッフに出会えたのだからむしろラッキーだと思えばよい。自分のポストが無くなることを心配する人もいるが、自分がポストを掴むチャンスなんてまだまだあるわけだと信じられないようであれば、そもそもマネジメントを担当する器じゃない。

出来の悪いマネージャーの場合、配下のメンバーに延々とポストを与えない。そもそも、そう思うマネージャーにとっては、ポストは誰かから「与えられた」ものでしかないので、「生み出す」ことについては無関心だったりする。

エキスパート・リーダシップは特に大事になる

もしも、組織のコンディションが悪い場合、自分の上長や、会社の経営スタッフを、上述の4つのアセスメントで測ってみることをお勧めする。

今の時代の「マネジメント」に期待されるのは、単なる「評価者」としての役割ではなく、「能動的なコーディネーター = エキスパート・リーダーシップの発揮」だと思う。配下のマネージャーを評価するのにもこれらのアセスメントは役に立つし、メンバーの立場で見ても、自分の置かれている環境を見直す意味では、素晴らしいマネジメントの下で働けているかどうかを確かめるためにも、ぜひ一度アセスメントを試してほしい。

サービスのコアバリューの書き換えは、価値をデフレさせる

グルーポンの甘酸っぱい思い出

LINE Payが、利用者の確保を狙って、友達に送金すると、マクドナルドやローソンの利用券がもらえるキャンペーンを実施している。他にもドコモやソフトバンクKDDIなどの通信キャリアも同様な施策を打ち出し、ユーザーの囲い込みに努めている。

これを見て、ものすごく甘酸っぱい記憶が思い出された。7-8年ほど前、米国発のグルーポン(日本では共同購入とかフラッシュマーケティングとか呼ばれていた)が日本を席巻していた。当時、日系のネット企業に勤めていた私も、漏れなくこの旋風に乗っかることになり、いわゆるクローンサービスの企画開発に携わったのだ。

米国の大資本を背景に、グルーポンは、日系のクローンサービスを買収したりしながら日本市場を攻めに攻めてきた。当然、オンラインのマーケティングもかなりのやり込みようだった。信じられないかもしれないが、当時の日本のGoogleリスティング広告SEM)は、ほぼグルーポンに買い占められていたような時期があった。

例えば、ひらがなの「あ」とか、単体では意味を成さないワードまで入札がなされていた記憶がある。とにかくありとあらゆる検索クエリを買い漁っていた。

検索クエリを買占めるだけで満足できなくなった彼らは、皆が欲しがる各種の金券(例えば、ハーゲンダッツのギフト券だったり、マクドナルドのギフト券だった)を通常の半額以下で買えるといった特別な商品(ディール)をフックにして、利用者の拡大に走った。確か、米国では、グルーポンが、Gapの金券を売り出して、当時のギネス記録を作った記憶がある。そう、これが冒頭のLINE Payのキャンペーンの話に繋がってくる。

日本でもクローンサービスの各社も含め、多種多様な金券をベースとしたディールを投入したので、一時はネット上で、どこのサイトで何が売りに出されるかが話題になっていたものだ。

サービスは一気に盛り下がっていった

その後、グルーポンサービスは、一気に下火になった。伝説となっている「おせち事件」があったことも影響しているだろう。

uranaru.jp

ただ、一番の原因は、そのグルーポン的なサービス自体で享受できる価値が、デフレしたことにあると思う。グルーポンが駆け出しの頃、売りに出される「ディール」は、毎日1つだった。そのディールは、本当に価値があるもので、売り出し枚数も少なくて、販売開始の時刻になると、サイトを更新して待っていたものだ。例えば、通常だったら1万円を優に超すような高級なレストランが、条件付きではあるが、半額で購入できたのだ。

ところが、競争が激しくなる中で、グルーポンは、売上重視に舵を切ったように思えた。その後、 グルーポンはIPOすることになるのだが、すでにIPOを前提として経営していたようで、事業拡大の路線を止めることはなかった。

その結果、毎日1つだったディールは、気が付いたら無限に掲載できるようになっていて、どうでもいい商品が販売されている状態に陥った。24時間以内とかの販売時間制限も、売り出し枚数の制限もみんな無くなっていた。結果、グルーポンサービス自体が持っていた全ての提供価値がデフレした。下手すると無くなっていた。

グルーポンの動きに追随するしかない日系のクローンサービスも同様にサービスを変質させた。その結果、どこでも手に入りそうな商品が、なんとなく半額で買える激安ECサイトに成り下がってしまって、日本でもグルーポンサービスは下火になっていったように思える。それなら、Amazonでも楽天でもいいやと。

Grouponの株価は、IPO時の価格を超えられずに低迷している

finance.yahoo.com

プロモーションを先行しすぎると、ユーザー離れに繋がりやすい

グルーポンを思い出すと、事業が立ち上がった直後に、サービスのコアバリューを維持するための様々な準備(インフラ基盤、人事制度、営業戦術)が整わずに、一気にスケールアップを狙ってIPOに向かうと、その実現を優先するため、コアバリュー自体を自分自身で書き換えてしまうという自己矛盾を引き起こすことに気が付かされる。

これによって、グルーポンはサービスの価値をデフレさせてしまい、ユーザー離れを引き起こしてしまった。

さらには、IPOゴールとした場合に、利用者数の拡大という命題だけは残るので、プロモーション/広告&販売管理費に多額の投資を行っていた。利用者を一時的に集めることは出来たかもしれないけど、その時点で、コアバリューは変質していたから、当初、経営陣が期待していたLTVやリテンションには結局ならなかったんじゃないかと想像している。

サービスの成熟を待って、プロモーションを実行に移すのは勇気がいる。市場は競争相手がいるわけで、誰かが先行してしまうかもしれないからだ。けれども、今思うのは、未成熟な状態で、プロモーションしたり営業を拡大しすぎるのは、良策とは思えないし、一番最悪なのは、その急ぎの戦術を正当化するために、事業戦略やコアバリュー自体を書き換えてしまうのは避けたほうがよいということだろう。

私も、LINE Payのアカウントは持っているけれど、使ったことは無い。実施中のキャンペーンでは、10円を友達に送金すると、何かしらの利用券がもらえるのだけど、送金できること自体の価値が高くなければ、継続して使うことにはならない。

AlipayやWechat Payのような金融サービスの付加価値を、LINEがどのスピード感で投入できるのかが、決済アプリの命運を握っていると思うから、楽しみに待つことにする。

上長の経費と時間の使い方で分かる、さっさと離れた方が良い組織

経費と部下の時間を貪る上司には近づかない方が良い

20代の前半の頃、全く仕事ができなかった自分が、自分でも信じられないような成長を遂げた時期がいくつかあった。30代後半になって、様々な経験を経てその頃を思い返すと、その時期に自分が所属していた組織の経営陣と上司はいかに優秀で魅力的だったのかという話に結実することが多いことに気がついた。

右も左も分からない若手の自分ですら理解できた「シンプルで力強い事業戦略」と、誰に対しても首尾一貫として態度を変えない「公明正大なマネジメント」によって、仕事でも大きな成果を得ることができ自信を得ることができたことは今でも感謝しているし、自分が経営する上での大きな指針となっている。

逆に成長できなかった時期もある。原因となったのは、日常的な、ボードメンバー(経営陣)の”残念な”振る舞いだった。”残念な”振る舞いと聞くと、「経営方針」のことかと思うかもしれないが違う。

経営方針に対する不満は、会社(経営陣)と従業員個々人との「イデオロギー(とか指向性)」の違いに基づく部分もあるので、一概に経営陣だけの問題とは言えないと考えている。資本主義と社会主義があるように、挑戦的な人もいれば保守的な人もいる。だからあまり気にならない。

ここで書きたい経営メンバーの”日常的”な”残念な”振る舞いは、時と場合によっては「職権乱用」「私物化」と捉えられかねないものが多い。経費や配下メンバーの業務時間に影響を及ぼすものだ。

結果として、「会社 対 従業員個々人」という構図だった問題が、「経営陣個々人 対 従業員個々人」という構図になってしまうことで、特定の経営メンバーを恨んだり嫌いがちになる。そうすることで、経営メンバーを嫌うと、会社自体も嫌いになってしまい、最終的には離職される確率が高まるかもしれない。

とにかく経費と時間の使い方が雑

出張費は、経費の中では比較的小さいものなので、各決裁レイヤーのメンバー(ボードメンバー)の裁量に任せている会社が比較的多いだろう。それ故に、所属する企業組織のガバナンスの公平性や、ボードメンバーの人間性を知るには大変便利なツールだと思う。

もしも、経営能力と志が低いボードメンバーが出張を決裁するのであれば、出張を慰安旅行のように扱い、経費や時間を無駄に使っていることが分かるからだ。彼らの出張に対する取り組み方を見れば、経営者として尊敬(信頼)すべきかが結構判断しやすいと私は思う。キャリアアップを狙っていきたいのであれば、こんな職場ならさっさと見切りをつけるのもありじゃないかと思う。

残念なボードメンバーにありがちな出張アクション

出張の目的は「視察」「意見交換」が多い
目的はビジネス面の進展ではないので、進展が求められないイベントが好き。
大規模なカンファレンス参加や、研修参加、支社訪問が多い。

この視察や研修名目の海外出張の問題点は、コーディネーター役に任命されたスタッフに実はかなり負担となる点だ。加えて、忘れがちな視察先(受け入れ先)の事業者にも負担を強いている。

一番の問題点であり、その他の問題を引き起こす真因でもあるのが「目的意識の欠如」です。視察希望者の70%くらいは「こういうことをするために、こういう企業を訪問して、こういう話を聞きたい」といった、具体的な目的を持っていません。

日本企業は「お勉強」海外視察を撲滅せよ。日本人は相手の時間奪う意識が希薄

「視察」「意見交換」で打診を受ける事業者は何の準備をすればよいか分からない。また、中身のないミーティングの開催を、先方に打診しなくてはならない部下の気持ちは当然理解できていない。いずれにせよ、当人以外の時間を消費していることに気がつけないボードメンバーが、部下の尊敬を集める可能性は低い。

オフサイトミーティングを開催したがる
単なる慰安旅行を「オフサイトミーティング」と言い換えて開催してるケースも分かりやすい。ゴルフや温泉を、会社の経費を使って、気心が知れた仲間たちと楽しめるものだと考えている。開催場所が、なぜか宮崎とか函館とか地方空港がある都市になってたりするのも特徴かもしれない。

ちなみに、この手のミーティングを開催したあとに、主催者より参加者に対して、どんなことが具体的に議論されたのか周知された記憶が過去ほとんどない。大体は、宴会とかであった粗相の共有ばかり...参加者は盛り上がるのでしょうが、参加してないスタッフからすれば愛想笑いするのが精一杯なのだ。

CESやMWCなどの海外イベントに行く、そしてエストニアは絶対に行く
毎年、CES、MWC、SXSWの季節になると憂鬱だった。イベント参加の日程を事前に押さえておく指示が来る。開催時期よりもだいぶ前に来るとすれば、そのボードメンバーはだいぶ”やばい”(=暇)かもしれない。

上述の通り、目的は「慰安旅行=視察」なので、現地企業との「商談」はとにかく避けることが多い。勝手にミーティングを設定すると、何か理由をつけて「俺は参加しない」と言われることも多い。故に、ミートアップ付きのチケットは購入せず、一般人向けのチケットを買う。昼も夜も同行メンバーと食事(=飲み会)を開催する。

現地では、海外の事業者との会食機会が無いが、日本から来ている、日本企業の知り合いと落ち合って食事(=飲み会)をすることは多い。単なる食事が、会食扱いになるので、経費で落とせるようになるから...

最近だと、IT先進国と呼ばれる「エストニア」に行きがちという噂がある。(これまでだと、上海、シンセン、シンガポール、シルコンバレーあたりが行きつけだった。)マイナンバーのシステム構築するベンダーでもないのに、一民間企業のマネジメントメンバーが視察に行って意味のあるアウトプットをしている所を見たことが無い。

結局のところ、現地でアクション取れないのであれば、日本でTechcrunchをチェックした方がむしろコストも体力も使わずに済むので効率的なのになと、日本に残されたスタッフはみんな思っている。

出張の成果は、訪問先のクライアントの決裁者の連絡先
商談ではなくて、会っただけなので、議事録はなくて、先方と何が話されたかよく分からない。結局、引き継ぎメンバーが改めてアポイントを入れて再度ゼロから話すことになる。

とにもかくにも「具体的な話を持ってくる」ということ。こういう案件があって、一緒にやれるところを探したいとか、こういうことをしたいから、これについての知見を持っているところに会いたいとか。

日本企業は「お勉強」海外視察を撲滅せよ。日本人は相手の時間奪う意識が希薄

引き継ぐ部下達にとっては、終点が見えない地獄でしかない。
むしろ、仕事が増えるので、会わないで欲しい...

一人で出張しない
出張の帯同人数が多い。帯同スタッフがいつも固定的なのも特徴。自己解決するつもりはないので、当然、英語とか現地語を自分で話す気はさらさら無い。下手すると、ホテルのチェックインまでコーディネートが必要になる。

ビジネスクラスに拘る
現地についてすぐの商談などの予定が入っていないし、帰国後も速攻で仕事に取り掛かる予定が入ってないのに、ビジネスクラスに乗りたがる。

クラスを落とせば、経費の節約にもなる。もしくは、若手の帯同者を増やし、海外にも連れていくことで経験も積ませることができる。ビジネスクラス搭乗をビジネス遂行のためのソリューションではなくて、単なる自分の権利だと勘違いしている。

マイレージプログラムに拘る
出張が多いため、マイルが貯まりやすい。故に、マイルを貯めることに拘る。ANA系/JAL系と自分が決めているプログラムの便に乗れないのであれば、無駄に、現地で前泊・後泊してフライトを調整する。

そもそも、そのマイレージは会社が負担したものなのだけど...
出張の目的が、明確でゴールがあれば、はっきり言って航空会社も便もどうでもいい話だし、無事に事故なくトラブルに巻き込まれず帰国できるならなんでもいいはず。 滞在時間を最小に抑えれば時間も無駄にならないのに、自分には甘くなっているボードメンバーはかなり多い。

最後に

出張という日常的なシーンを切り取っただけでも、自分が所属する組織の健全性は垣間見えると思う。恐ろしいのは、こうして(出張など経費の使い方においては)非合理な選択をしているボードメンバーに限って、部下に対しては合理的な選択(ROI、生産性、残業時間の抑制など)を要求してくる点である。言動と行動をできる限り一致させることが経営陣に対する信頼に繋がると思うので、自身の振る舞いにおいては気をつけていきたいと思う。

賢い事業計画と賢い立案者だけでは事業は立ち上がらない

社内で一番のスター人材の企画が成功するとは限らない

様々な新規事業や新サービスの立ち上げに携わってきて思うのが、会社で一番賢そうなスター人材が作ったエクセレントな事業計画でも、いざ実行に移すと割と派手に大コケするなあということ。会社が大事にしたい人材ゆえに、その失敗は公にされず、延々と塩漬けされることもある。

色々考えてみると、原因は、事業計画が全てじゃないのだなと分かってきた。
おそらく、立案者の能力が高すぎることが原因なのだと思う。

能力の高さゆえに事業計画の立案を任されたのだけど、作り出した計画をその通りに実行(Execute)できるのも、彼/彼女しかできないことに気がつけないのだ。

立案者の「私も実際に営業してみたのですが、」は悪手

立案された事業計画のフィジビリティ検証段階において、熱意を示すために立案者自身がExecuteに加わることは多い。ただ、「過度」にExecuteに加わることで、経営上のミスジャッジを引き起こしてしまう。

「私も実際に営業したのですが、クライアントからの反応もよく、拡販に自信を持ちました」というプレゼンテーションを重要な経営会議で行うことは多々ある。何を隠そう、私もやってしまったことがある。(ちなみに、このプレゼンを一度仕掛けると、自己満足に浸れる副作用があるから、ついつい、またやってしまいがちだ。)

ただ、やりすぎは悪手だと考えている。立案者の企画に対する熱量を示すためにやった行動が、マイナスに働いてしまう。

一番大事なのは計画実行の再現性

私が思うに、寸分の狂いもなさそうな計画を作りこんだとしても、結局は、Executeフェーズにおいては、誰が担当してもできるという「再現性」の方が将来のスケールのために重要になる。

だからこそ、フィジビリティ検証段階では、最悪な条件をあえて設定し、そのときのパフォーマンス指標がどうなるか、勇気をもって量ることが重要だ。例えば、営業検証について言えば、ロジカル志向のスタッフではなく、直感型でスポーツマンタイプのスタッフをあえてアサインしたほうが良い。

世の中、そんなに頭ばかり使って売り込める人は多くない(将来、営業リソース確保で苦しむ)し、相手も同様にロジカルな人ばかりじゃない(将来、売り込み先のマーケットの確保で苦しむ)のだ。

ちなみに、更に厳しい条件を課すならば、営業代理店に販売を委託してみるのも一手である。つまりは、臨機応変にクライアントの意向を読み取り商談の流れを組み立てていくことを要求せず、商品自体の価値でどこまでクライントの関心を弾きつけられるかに拘るのだ。

スター人材無しでも業績を積み上げることができるか

とにかくゼロ→イチのスタートにおいて取得すべきは、プレーンな数字だ。
もしも、経営者の立場でフィジビリティ検証の報告を受けるのであれば、間違っても、スター人材を追い込み過ぎて、彼/彼女にしかできない着飾った数字を提出させてはいけない。

もしも、立案側の立場で報告するにしても、「ミニマムでもこのパフォーマンスを出せるのだ」と胸を張って言うべきだ。そこまでやれば、あとは立案者が無理をしなくても、資金や人的リソースという変数を経営が動かすことで、スケールの大きさは変えられるのだから。

この段階でゴージャスな着飾った数字でほらを吹けば、いずれ苦しむのは経営陣も、立案者もどちらもである。だからこそ、早期に健全な投資判断を勝ち取ることで、その後の1→10のフェーズでも、大きな方向転換を強いられることなく正しい方向に舵をとり続けられることは大事なのだ。

0→1のフェーズで得られた情報や、知識、経験を次のフェーズで無駄にしないためにも、とにかくプレーンな数字を手に入れることが全てである。

賃貸Vs.持ち家議論から知った、B/Sの重要性

毎月の賃料にびびって持ち家の購入検討を開始

最初に明かすと、私は新築マンションの一室(3LDK)を東京23区内に所有してる。元々は賃貸に長く住み、2011年30才の時に初めて持ち家を手に入れた。

その当時、私の勤務地は新橋の方にあって忙しかった。だから、せめて職場の近くに住みたかった。結局、江東区豊洲にある賃貸の物件を契約したけども、家賃は20万円くらいしていた。妻も働いていたから、二人で費用を負担することで何とかできていたけれど、毎月20万円近い家賃の支払を2年近く続けた時に、今までに500万近く払ってしまったことに恐怖と後悔が生まれた。

「持ち家なら500万は頭金に使えたんじゃないか、来年も毎年200万以上払うのか...」

それで、持ち家にすることを決めた。だから、当時は、住宅を所有することで「資産」を手に入れられる本当の意味はあまり理解できてなかった。

持ち家を買うと決めたとき、自分の中ではこんなことを考えていたと思う。

  • とにかく、これ以上家賃を垂れ流したくない
  • ローンを組めば、長期間で分割するのだから、毎月の支払は減らせるだろう
  • それに、新築を購入するのだから、今よりもキレイで広い物件に住めるはず

物件の選定条件は、今までよりも遠くなっても職場に通勤しやすい沿線沿いにすることだけは決めていたけど、少しでも費用負担を減らしたかったから、当時の勤務先の社員割引が適用できるデベロッパーの物件から選ぶことにした。だから、そんなに候補は無くて1-2ヶ月もするうちに契約していた。

やっぱり、賃貸のままにしておけば良かったという後悔

契約後、いよいよ引渡しが近づいた。すると、その1ヶ月前に東日本大震災が発生。
新築で買ったのに、物件価値が一気に下がってしまうのではないかと嘆いていた。

よく、ネットや雑誌では、「持ち家、賃貸、どちらがお得」みたいな記事が展開されるけれど、賃貸派の意見として見かけたのはこんな論調だったと思う。

  • 日本は高齢化と人口減少で、物件を必要とする消費者自体が減っていく
  • ゆえに、物件の価値は目減りしやすくなり、場合によっては資産価値が無くなる恐れもある
  • 現に、地方のみならず、都内であっても郊外のベッドタウンは散々な状態だ
  • この衰退の流れは止められない。いずれ人口の多い都心部ですら同じ状況に陥る
  • 加えて、日本は大地震(関東、東海、南海など)の発生が予想されている。
    そうなったら、物件の価値が大きく傷つくのだから止めておけ

幸い、都内は震源地よりは揺れは小さく、建物自体の安全には影響は無かった。ただ、賃貸レコメンド派の話は頭の片隅にあったので、引渡しの頃は、とにかく後悔の気持ちでいっぱいだった。

「あー、とんでもない時期に買ってしまった。ただでさえ物件の価値は目減りするらしいのに、大地震もあったから、更に価値が減ってしまうのか...借金をただ背負っただけじゃないか」と。

持ち家とは「資産」なのだという意味をやっと理解する

ところが、7年経ちどうなっただろう。

日本の経済の先行きは不透明みたいな論調が続いているし、アベノミクスの結果について批判する人も多くいるが、都内の不動産価値は、2011年から2018年にかけて、なんと「20%」近く上昇(※中古物件参考値)したのだった。少なくとも、都内の資産価値は減らなかった。それどころか上昇した。同様に人口の集中する他の大都市圏も減っていないようだった。

見解は人それぞれだと思うが、私には持ち家は100%のリスクではないと思える。
賃貸はキャッシュを流出(P/L)させるが、持ち家はキャッシュを資産に転換(B/S)できるのだ。これは、キャッシュで金/Goldを購入して保有しておくのと本質的な違いはない。

当然だが、資産はタイミングを見てキャッシュに戻すこともできる。そのときに、その資産を買い求める人がいるかいないかで、価値のアップとダウンが決まるだけだ。

つまり、少し乱暴な言い方をすると、ローンを組んで借金はしたものの、毎月返済した金額はそのまま積み立てられている状態である。だから、今売却が出来れば、ここまでの返済額はそのままキャッシュとして戻ってくる(※)のだ。
(※正確に言えば、管理費・共益費もかかってるし、売却時には仲介手数料が発生する)

となれば、不良債権化しない流動性の高い物件(=次の購入者が見つかる物件)を探し出して住めばよいということになる。

親世代の住宅購入の経験話では、若い世代の持ち家購入を後押しできない

我々の親の世代と対話をすると、親切に熱心にアドバイスをくれることは多い。ただ、多くのアドバイスは、30-40年前の一度きりの購入経験に基づいてないだろうか。だから、持ち家から持ち家への複数の住み替えの経験を話してくれる人にはなかなか出会えない。

それは、高度経済成長期の終盤、資産価値が右肩上がりの想定で、高金利の住宅ローンを組まされ、その利息負担を減らすために高額の頭金を預金から払い込み、バブルの崩壊とともに資産価値は目減りしたが、ローンだけはしっかり払い続けざる得なかった苦い経験なのだと思う。

とはいえ、状況は当時と今で大きく異なる。住宅ローン金利は、30年以上前は5.0%を超えていたらしい。銀行の預け入れ金利が2.0%台だったということもあるが、それでも当時と今を比較すると全く景色が異なってくる。

今は、変動金利なら0.4%台だし、フラット35にしても、1.3%台で推移している。

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さらには、住宅の取得を推進するための各種の税制が充実しており、
最大10年間で毎年40万円(=400万円分)を上限とした控除が与えられている。

No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅ローンの金利は限りなく低くなっているし、税金面でも優遇がある(=実質的に住宅の取得価格の値下げ効果がある)状況において、30年以上前の行動を当てはめて考えるのは少し無理があると思う方が自然だろう。

現役世代のアドバンテージは何なのか?

そこで、若い世代が資産を手に入れるときに考えるべきは、30-40年前との違いである。そして、その違いによって得られるアドバンテージのスマートな活用である。

例えば、資産価値が目減りしにくい物件を探し出すのは、案外簡単になっている。インターネットはその代表格だ。30年前には普及していなかったから、物件の査定結果をパッと複数の不動産仲介会社から短期間で取得するのもできなかった。周辺の坪単価や買値/売値を調べるのも難儀だったと思う。

今は、SUUMOもHome'sもあるから、物件を絞り込むことはやりやすくなっているし、魅力的な物件を見つけたら、イエシルなどのサービスを使って、過去の中古販売実績を見ればよい。ちなみに、このサービスは凄いことに、各マンションの1室ごとの価格が見ることができる。たまに自分の家の物件価値をチェックしてドキドキしている。

www.ieshil.com

値崩れしにくい物件の条件

で、肝心な保有すべき物件の条件だが、住み替えてからでは変更が効かないものから大事になる。なので、一番は「立地」だ。間取りや設備は、住み始めてからでも何とかできる部分はあるが、立地だけは変えられない。建物の古さ、間取り、広さがその次あたりにくると思う。よく探される条件を想像すると、こんな感じだろう。

  • 最寄り駅から徒歩10分以内であること
  • 最寄り駅は、主要な都心部ターミナル駅から、
    各駅でも急行でも種別は問わないが、15分以内であること
  • 広さは最低でも50平米以上あること 

この条件で出てきた新築物件なら、次に売却する際でも、必要とする買い手が現れやすいと思う。だからこそ、新築物件の購入の際には、売却時を想定できる、今の時点の近隣の中古物件の価格が最も重要なチェックすべきファクトとなる。

中古物件の購入の方がよっぽど安心

中古物件は、古臭いとかの理由で敬遠する人もいるが、上記の人気物件の条件が満たせるエリアであれば、むしろ「買い」である。そう思うのは、新築物件は、通常は、下記のサイトが説明するように、築15年までにマンションの価値はほぼ底を打つからだ。

baikyaku-tatsujin.com

これを理解できれば、築16年以上の物件であれば、資産価値が減少する恐れが小さいことに気がつける。だから、多少高くても、これ以上は価値が下がりにくい中古物件を都心部に購入し、リノベーションをして住むのは更なるリスクヘッジになる。逆に、割安だからという理由で、新築であれどターミナル駅から離れた郊外の物件を購入するのは値崩れのセオリーからするとリスクにしか見えない。

子供が生まれても住み続けるのか考えておいた方が良い

物件探しで、意外と盲点になるのは、立地に紐づいて決まってしまう「学区」だ。子供がいる場合、私立学校に進学しない期間は、地元の公立学校に通うことになるが、これを決めるのが学区である。小学校だけでなく、人気の幼稚園も住所の近さによって入学の優先順位を決めていたりもする。

誰しも、進学率が高かったり、素行の悪い子供が少なかったり、先生の評判がいいところに子供は通わせたいだろうが、流動性の低い物件を購入すると、身動きが取れなくなってしまう。

次に物件を買う機会があれば、山手線周辺のターミナル駅で探す

予期せずに住宅を購入して7年経過したが、結果的としてはラッキーな状況にある。
その中で、持ち家の取得が、家計におけるB/Sに貢献することに気がつけたのは良かった。もしも、次に購入の機会があるならば、人口減少時代であってもそれでも人が集まるターミナル駅周辺の物件を、多少の無理をしても低金利のうちに多めにローンを組んで入手するだろう。それが、資産価値を減らさずに持ち続けるコツのような気がしてならないからだ。