Intrapreneur Marketing Note

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ゆっくりと顕在化してきた世代間の軋轢とその原因

なぜ、「好景気の実感がない」と答え続ける人が多いのか?

先日、こんな記事を読んだ。

マーケティングの端くれとして、やはりマクロデータの変化については注目しているのだけども、なぜ、景気についての意識調査だと「景気は上向いていない」と回答する人が大半なのに、株価は過去最高になったり、不動産価格が上昇したり、自殺率が低下するのか腹落ちしないことが多々あった。

そんな時、この記事を読んだのだけど、竹中さんが、下記のように論ずるのを見て、初めてそのモヤモヤの整理が出来た気がする。

しかし日本経済の成長率は1990年代に下方屈折しており、往時のような成長率には戻らない。

それでも景気の回復と後退の循環的な波は起きている。政府でも民間でも、エコノミストは成長率の絶対的な高低とは別に、そうした循環的な変化に注目して「回復期」「後退期」と言っているわけである。

ところが、一般の中高年以上の人々は自分が経験した過去の景気が良かった時の記憶に照らして判断する結果、「景気回復を感じない」という回答をする人が多数派になるのではなかろうか。

30-40代は、上昇志向がないというよりも、下降したくないだけ

我々30代の世代というのは、物心ついた時にはバブルが終わっていて、それからずっと同じようなどんよりした経済状況であり、しかも貸し剝がしやら超氷河期やらありとあらゆるリセッションを眺めてきた。望もうが望まないが関係なく巻き込まれてきた私たちの世代は、今の長期の安定政権による経済政策の恩恵に実は感謝してる人が多いと思う。

そもそも私達の世代は「ジャパンアズナンバーワン」の時代を知らないので、日本人が一番贅沢してたのであろう良かった時期と対比したくてもできない。だから、超氷河期とか自分が身をもって知ってる一番悪かった時期との対比しかできない。だからこそ、あの最悪な時期に戻りたく無い気持ちが強いのだ。

少なくとも若い世代の就職率は高い訳で、オリンピックも開催される国の未来を明るくないという方が無理がある。次世代の経済大国「中国」の隣で、素晴らしい四季と清潔な街並みと法治が機能する「日本」でビジネスできるのはチャンスだとしか思えない。

今、日本について後ろ向きに語るのは、一番いい時期を知ってる世代なのかなあとふと思った。こんなはずじゃなかった、あの良かった時期に戻りたいと。

感情ではなく、勘定で評価をしてくれる、客観的なメディアが欲しい

それに、メディアも根本的には懐古的なスタンスだ。
そもそも、読者や視聴者の年齢が高まるにつれ、紙面も番組も編集のスタンスも消費者に合わせて「懐古的」にならざるを得ない。究極は、所詮はビジネスなのだから。

だからこそ、現政権が成し遂げた経済復興については、「表面上だけ」とか「富裕層しか恩恵に預かれていない」と都合よく切り捨て、感情的に評価すれど、勘定的には評価できないでいる。このことが、政局や経済などにおいて色んな局面で見え隠れし、結果的に自国経済への自信を取り戻せずに足かせになっているように思える。

下記のNewsweekのような記事をレガシーの新聞が書き起こすのはほとんど見かけない。

過去から決別するつもりもなく、懐古的に一本調子で論ずるだけの既存メディアの論調にも、我々の世代はシラけてしまうことが多いのだ。けれども、テレビも新聞も見ないけど、決してニュースを読まないわけではない。Newspicksや東洋経済オンラインなどのネットメディアを眺めつつ、FacebookTwitterなどを活用して、国内・海外のニュースをせっせと集めて読み込んでいる。

高度成長期に「戻りたい」世代、氷河期に「戻りたくない」世代。

「あの良かった時期に戻りたい」と願う世代と、「あの悪かった時期に戻りたくない」と願う世代ではゴールが異なるのだろう。だから、常に論戦はかみ合わない。

世代間で、政治-経済-スポーツなど様々な場面で徐々にぶつかり始めているのはこんな理由なのかなと思った記事だった。